電子小黒板/工事写真レイヤ化
国土交通省の通達で令和5年4月1日以降の入札において「デジタル工事写真の小黒板情報電子化」について一部改定がなされました。
改定の目的として「監督・検査」における発注者側の負荷の軽減、受注者側の撮影に関する人員の確保・撮影においての安全確保等の課題などの解決に繋がるよう基準改定しています。
受発注者の業務効率化を目的とし、現場撮影の省力化、写真整理の効率化、工事写真の改ざん防止を図ることなどが挙げられます。写真管理は建設業においてもっとも時間のかかる施工管理業務のひとつであり、これらの作業をICTの力で効率化することで、喫緊の課題である働き手不足の解消、週休2日制実現のための省力化など、建設業が抱える問題の解決に繋げます。
電子小黒板に対応するだけでは意味がない
電子小黒板を利用することでどのように効率化を図ることができるのでしょうか?単に現場に持っていく黒板をデジタル化するだけでは効率化の恩恵をわずかにしか受けることができません。デジタル化することで写真管理に関わる業務プロセス全体の効率化につなげ、建設業の喫緊の課題に対応することができるのです。
電子小黒板への対応を契機として写真管理業務全体のフローを効率化すれば、大幅な業務効率化に繋がることは間違いありません。
小黒板の電子化のメリットは?
❶ 現場労力の省力化
電子小黒板でもっとも想像しやすいメリットは黒板の設置に関わる省力化です。
- 黒板にチョークなどで記入
- 黒板をアングルに合わせて配置
- 撮影
これらの作業をモバイル端末一つで行うことができるので、現場での手荷物を減らし、人の手を借りず撮影業務を行うことができます。
さらに、事前にパソコン側で小黒板を作成しておけば、クラウドを経由しモバイル端末側で保存した小黒板を選択するだけで、現場での撮影ができるようになります。
昨今、建設業でもフロントローディング(前倒しが可能な工程を初期段階で行うこと)が話題です。現場では「撮影するだけ」の状態にすることで日々大量の写真撮影を必要とする建設業での業務効率化を実現できます。
また、内勤者がパソコン側で黒板を作成し、現場では撮影作業だけ行うなどワークシェアができることも魅力のひとつと言えるでしょう。
❷ 写真管理業務の効率化
現場での撮影業務はもちろんですが、写真管理業務においては写真整理や納品用のアルバム作成、電子納品など、撮影後の事務作業も大きな課題です。
電子小黒板のメリットは、作成した黒板のデータを様々な場面でそのまま活用できることです。たとえば、黒板で入力した情報をもとにして自動的に写真振り分けを行うので、事務所に戻ってからの写真整理作業から開放され残業時間の大幅な削減に繋がります。
また、アルバム台帳作成や電子納品に必要なデータも、作成した黒板データの情報が自動的に反映されることで、提出書類の作成時間においても大幅な削減が可能です。
電子化された小黒板には工種や撮影箇所、略図などの情報が付与されているため、写真管理業務全体の効率化につながります。
さらなる効率化!公共工事で使える「SVG形式」
2023年3月国土交通省基準改定
国土交通省「デジタル写真管理情報基準」が2023年3月に改定されました。この改定により、写真ファイルの保存形式に「SVG形式」が明記され、電子納品に向けた工事写真において「SVG形式」が利用可能であることが明示されています。
旧:令和2年3月 |
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・写真ファイルの記録形式は日本産業規格(JIS)に示されるJPEGやTIFF形式等とし、撮影モードによる圧縮比がある場合は、「標準(BASIC、約1/16圧縮)」とする。動画のファイル形式については、監督職員の承諾を得た上で使用する。 |
新:令和5年3月 |
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・写真ファイルの記録形式は日本産業規格(JIS)に示されるJPEG、TIFFやSVG形式等とし、撮影モードによる圧縮比がある場合は、「標準(BASIC、約1/16圧縮)」とする。動画のファイル形式については、監督職員の承諾を得た上で使用する。 ・動画ファイルの記録形式は日本産業企画(JIS)に示されるMP4形式等とする。 |
「デジタル写真管理情報基準」改定部分
SVG形式=工事写真のレイヤ化
新たに明示されたSVG形式ですが「SVGファイル形式は、2次元ベクターイメージ用の画像形式でJIS規格化されたファイルフォーマット」と定義されています。
レイヤとは透明なシートに書いた画像のように、重ねて使うことのできる機能です。
工事写真をレイヤ化することで撮影した「原本画像」上に、「注釈」「黒板」を重ねて表示することができます。これらのレイヤは、1つのSVG形式として保存可能です。
工事写真レイヤ化で、配筋検査のマーカーレスを実現
従来の工事写真撮影では、黒板に設計情報を記入することや、鉄筋種別ごとに物理的マーカーを設置することが必須でした。
しかし、工事写真のレイヤ化に対応することで、上記作業が不要となり、撮影写真に対して、電子小黒板・マーカー等の注釈を、スマホ上で設定できるようになります。
マーカーレスのメリット
❶ マーカーの設置・回収の手間を省く
撮影写真に対して、スマホ上で、マーカー等の注釈を記入できるため、現場で物理的マーカーを設置したり、回収したりする作業が不要です。
❷ マーカーの落下による異物混入リスクを低減
物理的マーカーを使用する必要がないため、設置・回収時に発生しがちなマーカーの落下を防止します。
施工管理業務の管理を効率化!土木現場用スマートフォンアプリ
「SiteBox」搭載のスマートフォンで出来形データの記録と工事写真の撮影ができます。
さらに”電子小黒板”の写し込み機能を使用することで、黒板を持ち運ぶ必要がなくなるため危険な場所でも安全に撮影できるほか、黒板を持つ必要がなく手書きも不要なため撮影人数を削減できます。記録した出来形データ、撮影した工事写真を「KSデータバンク」に保管することで、紛失等のトラブルからデータを守ります。
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