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災害発生時の従業員安否確認の目的や手段、確認事項、注意点まで徹底解説

災害発生時の従業員安否確認の目的や手段、確認事項、注意点まで徹底解説

2024/08/07

防災

災害発生時、企業にとって重要な課題の一つは、従業員の安否確認です。

迅速かつ確実な安否確認は、従業員の安全を守るだけではなく、企業の事業継続にも不可欠です。

しかし、いざという時にスムーズな安否確認を実施できるよう、事前に準備しておくことは容易ではありません。

本記事では、災害発生時の従業員の安否確認に関して手段や確認事項、注意点などを詳しく解説します。

これらを参考に、自社に合った安否確認体制を構築し、災害時のリスクに備えてください。

従業員の安否確認とは?

従業員の安否確認とは、災害発生時などに従業員やその家族の生存状況を把握することを指します。

これは単に生存を確認するだけではなく、怪我の有無、避難場所、帰宅状況、必要な支援などを把握し、従業員の安全確保と事業継続に向けた適切な対応を行うための重要な活動です。

2011年3月11日に発生した東日本大震災以降、企業で行う従業員の安否確認の重要性はますます高まっています。

従業員の安否確認には法的義務はない

従業員の安否確認は、災害発生時などに従業員の安全を確認し、必要な支援を行うための重要な活動です。

しかし、法的には義務付けられていません。

労働契約法第5条では、使用者は労働者の安全配慮義務を負っており、災害発生時などに適切な措置を講じなければなりませんが、具体的な内容は定められておらず、従業員の安否確認を必ず実施しなければならないというわけではありません。

ただし、安全配慮義務の一環として、企業は従業員の安全を守るために必要な措置を講じることが求められています。

そのため、災害発生時に従業員の安否確認を行わないことは、安全配慮義務違反とみなされる可能性があります。

安否確認をする目的

安否確認の主な目的は、以下のとおりです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

従業員の安全確保

従業員の安全確保は、安否確認の重要な目的の一つです。

災害発生時、企業は従業員の生命と健康を最優先に考える必要があります。
安否確認を通じて、従業員の現在の状況や避難場所を把握し、必要に応じて速やかな支援や救助活動ができます。

また、二次災害の危険性がある場合は、適切な指示を出して従業員を安全な場所へ誘導することも必要です。

事業継続への影響

事業継続のためにも、安否確認は重要です。

災害発生時、従業員の状況を迅速に把握できれば、企業は事業再開の計画を立てやすくなります。

安否確認により、出勤可能な従業員数や各部署の状況が分かるため、業務の優先順位付けや人員配置の調整がスムーズに行えます。

また、重要な役割を担う従業員の状況を知ることで、必要に応じて代替者の手配や業務の再分配ができるため、企業は混乱を最小限に抑え、早期の事業復旧が可能です。

企業の社会的責任の履行

企業の社会的責任を果たす上でも、安否確認は重要な役割を担います。

災害時に従業員の安全を確保し、適切な支援を行うことは、企業の責務です。

迅速な安否確認と対応は、従業員やその家族からの信頼を高め、企業の評判向上にもつながります。

事業継続計画(BCP)の重要な要素

安否確認は、事業継続計画(BCP)の重要な要素の一つです。

災害発生時、従業員の状況を迅速に把握すれば、企業は効果的に事業を継続または早期に再開できます。

BCPでは、人的資源の確保は最優先事項であり、安否確認はその基礎となります。

従業員の無事を確認し、出勤可能な人員を把握できれば、重要業務の遂行や顧客対応を早期に再開できるでしょう。

会社が安否確認する方法

会社が安否確認する方法には、以下のようなものが挙げられます。

それぞれの方法とメリット・デメリットをしっかり把握しておきましょう。

電話

電話は、最も基本的な手段であり、音声で状況を把握できる利点があります。
電話での安否確認のメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット デメリット
  • 被災状況やけがの状態などを詳しく聞き取れる
  • 相手の感情を把握しやすい
  • 一度に多くの相手に連絡できない
  • 録音や記録が残らない
  • 混雑時はつながりにくい

災害発生直後は、電話回線が混雑するため、緊急連絡先のみへ電話をかけ、安否確認のみを行うようにしてください。
状況が落ち着いたら、改めて詳細を聞き取るようにしましょう。

メール

メールは、多くの従業員に一斉送信できる利点があり、記録として残せる点が特徴です。
メールでの安否確認のメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット デメリット
  • 多くの相手に一度に連絡できる
  • 返信内容を記録として残せる
  • 写真や動画を添付できる
  • インターネット環境が必要
  • 既読確認ができない
  • 文章のみであるため、状況を把握しにくい

災害発生直後は、メールサーバーが混雑するため、

  • 重要な情報のみを記載する
  • 迷惑メール対策で、BCCを使用する

などの工夫をしておくことで、より届きやすくなります。

SNS・チャットツール

SNSやチャットツールは、双方向のコミュニケーションが可能で、画像や動画などを共有できる利点があります。
SNSやチャットツールの主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット デメリット
  • リアルタイムで情報共有できる
  • 画像や動画などを添付できる
  • インターネット環境がない場合は利用できない
  • プライバシー設定によっては、情報共有が制限される
  • 情報が錯乱しやすい

災害発生に備え、社内グループを作成しておきましょう。
グループ名には「災害連絡網」など分かりやすい名前を付け、社員全員を招待します。

普段から情報共有の場として活用しておけば、災害発生時でもスムーズなコミュニケーションが可能です。

災害掲示板

災害掲示板は、インターネット上で安否情報を登録・閲覧できる利点があります。
災害掲示板の主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット デメリット
  • 携帯電話の電波が届かない場所でも利用できる
  • 災害用伝言ダイヤルと連携している
  • インターネット環境がない場合は利用できない
  • 情報の更新が遅れる場合がある

災害発生時には、社内ポータルやメールなどで、社員に災害掲示板の利用を呼びかけましょう。

また、あらかじめ社員に災害掲示板のURLを共有しておくことで、スムーズな情報収集が可能です。

安否確認システム・アプリ

安否確認システムやアプリは、多くの社員に短時間で連絡でき、記録や分析も容易な利点があります。
安否確認システムやアプリの主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット デメリット
  • 災害発生時に自動で一斉通知を送信できる
  • 返信状況を把握できる
  • 安否確認の漏れを防ぐ機能がある
  • 導入や運用にコストがかかる
  • システム障害が発生する可能性がある

災害発生時に、従業員の安否確認を迅速かつ確実に実施するために、安否確認システム・アプリの導入をおすすめします。

導入前に複数のシステム・アプリを比較し、自社の規模や予算、必要な機能に合ったものを選ぶことが重要です。

安否確認する際の確認事項

災害発生時での従業員の安否確認は、迅速かつ正確に行うことが重要です。
そのためには、事前に確認事項を明確にしておき、漏れのない情報収集を行う必要があります。

具体的な確認事項は、以下のようなものが挙げられます。

本人・家族の状況
  • 本人・家族の怪我や病気の有無
  • 避難場所
  • 食料や水などの必要な物資
  • 今後の連絡手段(電話番号、メールアドレスなど)
出社の可否
  • 出社可能な場合は、出社予定時刻
  • 出社できない場合は、その理由
  • リモートワーク可能な場合は、リモートワーク環境の有無
業務状況
  • 業務に支障がないかどうか
  • 業務に支障がある場合は、その内容
  • 緊急対応に協力できるかどうか

これらの確認事項は、事前にテンプレートを作成しておくとスムーズに確認ができます。

従業員に安否確認する際の注意点

従業員に安否確認する際には、以下の点に注意しましょう。

それぞれ詳しく解説します。

連絡手段を決めておく

災害発生時は、電話回線やインターネットが繋がりにくくなる可能性があるため、複数の連絡手段を用意しておくことが重要です。

しかし、複数のツールをバラバラに利用すると、情報収集や共有が複雑になり、かえって混乱を招いてしまう可能性があります。

そのため、事前に全社員で統一した連絡手段を決め、周知しておくことが重要です。

連絡手段を決める際には、以下の点に注意しましょう。

  • 利用可能性
  • 使いやすさ
  • 情報共有のしやすさ

どの手段を採用するかは、会社の規模や業種、従業員の属性などを考慮して決定する必要があります。

報告内容を統一

安否確認を効率的に行うためには、報告内容の統一が必要です。
事前に従業員に対して、報告すべき項目と形式を明確に示しておきましょう。

例えば、「氏名」「所在地」「健康状態」「家族の状況」「出社可否」などの基本項目を定め、それぞれに対する回答の選択肢を用意します。

報告内容を統一しておけば、情報の収集と整理が容易になり、迅速な状況把握と適切な対応が可能となります。

従業員の安否確認には
安否確認システムがおすすめ

従業員の安否確認を迅速かつ効率的に行うには、安否確認システムの導入がおすすめです。

安否確認システムは、一斉メールやSMS、専用アプリなどを通じて従業員に連絡し、自動で回答を集計します。

電話やメールでの個別確認に比べ、短時間で多数の従業員の状況を把握できるため、大規模災害時に有効な手段です。

安否確認システムを選ぶポイント

一口に安否確認システムといっても、さまざまな種類があり、それぞれ機能や料金などが異なります。

自社に最適なシステムを選ぶためには、以下のポイントを参考に検討する必要があります。

導入費用・ランニングコスト

安否確認システムの導入費用には、初期費用とランニングコストがあります。
初期費用には、システムのライセンス費用や導入費用など、ランニングコストには、月額料金や利用人数課金などがあります。
導入前に、それぞれの費用をしっかりと確認しましょう。

対象人数と利用環境

安否確認システムを利用する対象人数を確認する必要があります。
システムによっては、利用人数の上限が設けられている場合もあります。
また、従業員の利用環境も考慮しましょう。
パソコンのみの対応なのか、スマートフォンやタブレット端末にも対応しているのかを確認しておきましょう。

使用できる機能

安否確認システムには、基本的な安否確認機能以外にも、さまざまな機能が搭載されています。
例えば、自動一斉送信機能、グループ別送信機能、安否状況の可視化機能、家族への連絡機能などがあります。
自社が必要とする機能が搭載されているかどうかを確認しましょう。

まとめ

従業員の安否確認は、災害発生時に企業が果たすべき責務です。
安全確保や事業継続、社会的責任の履行など、多くの目的を持っています。

確認事項には、従業員本人の状態、家族の状況、出社の可否などがあり、これらを迅速かつ正確に把握する必要があります。

安否確認を効率的に行うためには、報告内容の統一や安否確認システム「クロスゼロ」の導入が効果的です。

クロスゼロは、安否確認以外にも災害に対する備えや、発災後の避難行動・情報伝達までさまざまな機能を備えている総合防災アプリです。

クロスゼロの主な機能は、以下のとおりです。

  • ハザードマップ・避難情報の確認
  • 備蓄管理
  • 気象情報と連携した安否確認
  • 家族向けの安否確認やチャット

従業員の安否確認に効果的なシステムを検討している方は、クロスゼロの活用をご検討ください。
クロスゼロは30日間無料でご利用いただけます。ぜひお試しください。

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