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建設業で行われている防災対策とは?具体的な対策やヒヤリハット事例も徹底解説

建設業で行われている防災対策とは?具体的な対策やヒヤリハット事例も徹底解説

2024/09/10

防災

建設現場は常に危険が伴い、防災対策の不備が重大な事故につながる可能性があります。

作業員の安全を脅かす転落事故、重機との接触、さらには地震や台風などの自然災害などは、いつ発生するのか予想できません。
これらの危険は、一瞬にして現場を混乱に陥れ、工期の遅延や甚大な経済的損失をもたらす可能性があります。

では、どうすれば建設現場の安全を確保し、災害に強い体制を構築できるのでしょうか?

本記事では、緊急時対応マニュアルの作成から、実践的な防災訓練の実施まで、具体的な対策や実際のヒヤリハット事例とその対処法も詳しく解説します。

建設業での防災対策に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

建設業における防災対策の重要性

建設業における防災対策の重要性には、以下のようなものが挙げられます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

作業員の安全確保

建設現場における作業員の安全確保は、防災対策の要となる重要な課題です。
安全確保は建設業の基本であり、企業の責任でもあります。

建設業では高所作業や重機操作など、危険を伴う作業が日常的に行われるため、適切な安全対策が不可欠です。

具体的には、以下のような対策が挙げられます。

作業開始前の
安全ミーティングの実施
  • 当日の作業内容や気象条件、注意すべき点を全員で共有
個人用保護具の着用を徹底
  • ヘルメット、安全靴、作業手袋、必要に応じて安全帯や防塵マスクなどを適切に使用
安全を意識できる環境を整備
  • 避難経路や消火器の位置を明示した安全マップを掲示
  • 作業場所ごとに危険箇所や注意点を示した標識を設置
気象情報の常時モニタリング
  • 台風や豪雨、強風などの悪天候が予想される場合は、作業の中止や延期を迅速に判断
熱中症対策
  • 適切な休憩時間の設定や水分補給場所の確保
  • 涼しい休憩所を設置
  • 作業員の体調管理にも配慮
ヒヤリハット事例の共有
  • 過去の事故やヒヤリとした経験を共有

建設業における作業員の安全確保は、多岐にわたる対策が必要です。
安全教育や安全設備の設置、危険箇所の警告、災害時の対応、ヒヤリハット事例の共有などの取り組みを通じて、作業員の安全が確保されています。

建設機器や資材の保護

建設業における防災対策の一環として、建設機器や資材の保護も大切です。
高価な機器や貴重な資材を災害から守ることで、経済的損失を最小限に抑えられるからです。

具体的な対策には、以下のようなものが挙げられます。

資材を適切に保管
  • 資材置き場には防水シートや屋根を設置
  • 特定の条件下で保存が必要な資材は、専用の保管庫に収納
盗難防止
  • 現場に防犯カメラを設置し24時間体制で監視
  • 夜間には警備員が巡回
排水対策
  • 排水溝や側溝を定期的に清掃
  • 必要に応じて土のうを準備し浸水を予防
自然災害に対する備え
  • 地震や台風などの災害が発生した場合に備え重機の倒壊を予防
  • 避難経路や避難場所の提示
定期的な点検
  • 劣化や損傷がないかを確認
  • 必要な部品交換を行い良好な状態を維持

建設機器や資材の保護は、工事の進行に直結するため、多岐にわたる対策が講じられています。

定期的なメンテナンス、適切な保管方法、厳重なセキュリティ対策、自然災害への備えなど、具体的な取り組みを通じて、建設現場の安全が確保されています。

事業継続の確保

建設業は、社会インフラを整備する重要な産業です。
そのため、地震や風水害といった自然災害が発生した場合でも、事業を中断することなく迅速に復旧し、社会への影響を最小限に抑えることが求められます。

事業継続は、企業の存続だけでなく、社会への貢献の観点からも不可欠です。

具体的な対策には、以下のようなものが挙げられます。

事業継続計画(BCP)の策定
  • 災害時にどのように事業を継続するか、具体的な手順や役割分担を明記
  • 災害発生時の指揮系統、重要業務の優先順位、必要な資源の確保方法を記載
情報システムの保護
  • データのバックアップを定期的に実施
  • 顧客情報や工事図面、契約書類などを定期的にクラウドサービスや遠隔地のサーバーに保存
  • 紙の書類は、耐火金庫で保管するか、電子化して保存
サプライチェーンの強化
  • 複数の供給元を確保し代替供給ルートの準備
  • 緊急時に迅速に対応できる協力会社との連携を強化
人的リソースの確保
  • 予備の作業員リストを用意
  • 適切な避難指示や安全確保のための指示を徹底
  • 従業員安否確認システムの導入

事業継続の確保には、日常からの準備と訓練が欠かせません。

定期的な防災訓練の実施や災害時の対応手順の確認を徹底し、実際の状況で迅速に対応できるように準備しておきましょう。

建設会社が行っている具体的な防災対策

防災対策は、一朝一夕で完成するものではありません。
災害が発生するなどの緊急時にも迅速に対応するために、建設会社では以下のような防災対策が行われています。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

緊急時対応マニュアルの作成

建設会社での緊急時対応マニュアルの作成は、防災対策の要となる重要な取り組みです。

マニュアルには、以下のような内容を記載する必要があります。

  • 災害発生時の連絡網や報告手順
  • 災害時の避難経路や集合場所
  • 従業員の安否確認方法
  • 負傷者が出た場合の応急処置の方法
  • 災害発生時に必要な資材の保管場所や確保方法
  • 災害後の復旧作業手順
  • 救急用品や非常食の備蓄場所や使用方法

定期的にマニュアルの見直しと更新を行い、全従業員に周知徹底し、緊急時に冷静かつ適切な行動がとれるよう備えておくことが大切です。

実効性のある緊急時対応マニュアルは、建設現場の安全を守る重要なツールとなります。

ハザードマップの作成と活用

建設会社では、ハザードマップの作成と活用が重要な防災対策として実施されています。

ハザードマップは、地震や洪水、土砂崩れなどのリスクがある地域を視覚的に示した地図です。建設現場の周辺地域の過去の災害履歴や地形、地質などの情報を基に作成されます。
例えば、土砂崩れの可能性がある斜面や、浸水しやすい低地などを視覚的に表示します。

また、避難経路や一時避難場所、消火器や救急用品の設置場所も明確に示すことも大切です。

作成したハザードマップは、現場の目につきやすい場所に掲示し、全作業員に周知徹底します。

定期的な安全ミーティングでハザードマップを用いて説明すれば、作業員の防災意識を高められるでしょう。

定期的な防災訓練の実施

防災マニュアルを作成しただけでは、いざ災害が発生した時にスムーズに対応できません。

実際に災害が発生した状況を想定し、定期的に防災訓練を実施し、緊急時の対応能力を向上させておくことが大切です。

訓練の内容は、避難訓練や消火訓練、救急救命訓練など多岐にわたります。
例えば、避難訓練では、実際の避難経路を使って、全従業員が安全に避難場所まで移動する練習を行い、消火訓練では、消火器の正しい使用方法を学び、実際に水消火器を使って的確に消火する訓練を実施します。

また、AEDの使用方法や心肺蘇生法を学ぶ救急救命訓練も重要です。

訓練を通じて、従業員一人ひとりが自分の役割を理解し、冷静に行動できるようになるでしょう。
定期的な防災訓練は、建設現場の安全性向上には欠かせません。

防災設備の設置と点検

建設会社では、現場の安全を確保するため、適切な防災設備の設置と定期的な点検を行っています。

主な防災設備には、消火器、火災報知器、避難誘導灯などがあります。
各設備は、法令で定められた場所に適切に設置しなければいけません。

例えば、消火器は10〜20メートルごとに配置し、誰もが素早く取り出せる位置に設置する必要があります。

また、火災報知器は天井や壁に取り付け、煙や熱を素早く感知できるようにします。

避難誘導灯は、停電時でも視認性が高い蓄光式のものを使用し、避難経路を明確に示すために必要です。

設備の設置後は、月1回の目視点検と年2回の詳細点検を実施し、不具合がある場合は速やかに修理や交換を行わなければいけません。

防災設備の適切な設置と定期的な点検は、建設現場での安全性を高め、災害時の被害を最小限に抑えるための重要な対策です。

建設現場でのヒヤリハット事例と対策

建設現場では、日々さまざまな作業が行われており、その過程で「もう少しで事故に繋がりそうだった」のような、ヒヤリとする場面が少なからず発生します。

このような、実際に事故には至らなかったものの、大きな事故に繋がっていたかもしれない事例を「ヒヤリハット事例」と呼びます。

ヒヤリハット事例からは事故につながる要因や対策を学べます。
ここでは、主なヒヤリハットの事例とそれからわかる対策を説明します。

高所作業中の転落

高所作業中の転落は、建設現場で発生するヒヤリハット事例の一つです。

高所での作業は、足場の不安定や安全帯の不使用が原因で転落事故を引き起こす可能性があります。

転落を防ぐためには、まず、足場の点検と整備が必要です。
足場は作業開始前に確認し、設置基準に適合しているかを確認します。また、安全帯の使用も徹底されるべきです。

さらに、作業中は周囲の状況を常に意識し、足元が不安定な場所では慎重に作業を行うことが求められます。

転落事故を完全に防ぐのは、難しいかもしれません。
しかし、安全帯の常時着用や足場の点検・整備、作業者への安全教育を行っていれば、リスクは低減できます。

重機との接触事故

建設現場では、さまざまな種類の重機が稼働しているため、作業員との接触事故が後を絶ちません。

重機との接触事故は、作業員の死亡や重傷につながる可能性が高く、非常に危険です。

事故の原因としては、まず、作業員の不注意が挙げられます。
重機が近づいていることに気づかず、作業を続けてしまうケースや、死角に入り込んでしまい、重機に接触してしまうケースなどが考えられます。

また、重機の運転者の不注意も原因の一つです。
周囲の状況を確認せずに運転したり、信号を守らずに作業を進めたりして、作業員と接触してしまうことがあります。

さらに、作業環境の整備不足も事故の一因です。
作業スペースが狭かったり、照明が不十分だったりする場合、作業員は重機との距離感を掴みづらくなり、接触事故のリスクが高まります。

重機との接触事故を防ぐためには、作業前の安全確認を徹底し、危険予知活動を行うことが重要です。

また、作業員への安全教育を定期的に実施し、重機の死角や危険な作業手順を周知徹底する必要があります。

資材の落下・倒壊

建設現場での資材の落下・倒壊は、重大な事故につながる危険性が高いヒヤリハット事例です。

高所作業中に工具を落とす、積み上げた資材が崩れる、クレーンで吊り上げた荷物が落下するなどの事例が報告されています。

これらを防ぐため、作業前の安全確認や適切な養生が欠かせません。

工具にはストラップを付け、資材は安定した状態で積み上げます。
クレーン作業では、玉掛けの確実な実施や周囲の立入禁止措置を徹底します。
また、ヘルメットの着用や安全靴の使用など、個人用保護具の正しい装着も重要です。

まとめ

建設業での防災対策は、作業員の安全確保や資材の保護、事業継続の観点からも不可欠な取り組みです。

本記事では、緊急時対応マニュアルの作成、ハザードマップの活用、定期的な防災訓練の実施など、具体的な対策を紹介しました。
また、高所作業中の転落や重機との接触事故といった実際のヒヤリハット事例とその対策も解説しています。

建設業は、社会インフラを整備する重要な産業であるため、防災対策は必要不可欠な取り組みです。
まずは、緊急時対応マニュアルの見直しや次回の防災訓練の計画から始めてみましょう。

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