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災害時情報共有システムとは?仕組みと役割、導入時の注意点などを解説

災害時情報共有システムとは?仕組みと役割、導入時の注意点などを解説

2023/11/13

防災

近年頻発する災害は、いつ、どこで起こるかわかりません。災害には、地震や台風、火山噴火などの自然災害や、人為的な事故やテロなどの社会的災害があります。そこで、もし何らかの災害が発生したとき、被害の状況や救助の要請、避難指示などの情報を迅速に正確に伝えることが重要です。

しかし、災害によって通信網が寸断されたり、電力が供給されなかったりすると、情報共有が困難になります。そこで、万一の災害時に情報の共有を可能にするのが、災害時情報共有システム(Lアラート)です。
災害時情報共有システムは、災害発生時における関係者間の情報共有を支援するシステムで、さまざまな組織や機関で注目されています。

そこで今回は、災害時情報共有システムの役割や機能、導入時の注意点などを徹底解説します。
企業の災害対策に欠かせないツールの1つですので、ぜひ参考にしてください。

災害時情報共有システム
(Lアラート)とは?

災害時情報共有システム(Lアラート)とは、災害発生時における関係者間の情報共有を支援するシステムのことです。

この関係者とは、行政機関や消防・警察・自衛隊などの救助組織、医療機関やライフライン事業者などのインフラ提供者、マスコミやボランティアなどの情報発信者、そして一般市民などです。

災害発生時に、災害時情報共有システムを活用することで、これらの関係者が互いに必要な情報を交換し、協力して災害対応を行うことができます。

災害時情報共有システムが
必要な理由

自然災害や社会的災害は、いつ起きるか予測できません。そのため、発生時には多くの人々や物質が被害を受ける可能性があります。
そこで、災害の影響を最小限に抑えるためには、被害の状況や救助の要請、避難の指示などの情報を迅速に正確に伝えることが重要です。

しかし、災害によって通信網が寸断されたり、電力が供給されなかったりすると、情報共有が困難になります。また、情報の量や質が不十分だったり、情報の伝達方法が適切でなかったりすると、情報の誤解や混乱が生じる可能性があります。

このような災害時に情報共有を可能にするのが、災害時情報共有システムです。

災害時情報共有システムは、災害現場からの画像や動画、被害状況や救助要請などのテキストデータや気象、地震などのセンサーデータなどを収集・分析し、有用な情報に変換します。そして、分析した情報を関係者に配信し、必要に応じて伝達します。

これにより、前述した関係者が互いに必要な情報を交換し、協力して災害対応を行うことが可能となるのです。

災害時情報共有システムの
仕組みと役割

災害情報を迅速・確実に伝達する
引用:総務省 情報動画「災害情報伝達の確保 〜Lアラート〜」より

災害時情報共有システムとは、災害発生時に地方公共団体やライフライン事業者などの情報発信者から、放送局やインターネットサービス事業者などの情報伝達者を経由して、地域住民に必要な情報を提供するシステムのことです。

災害時情報共有システムの仕組み

災害時情報共有システムの仕組みは、Lアラートという共通の基盤を中心に構成されています。

Lアラートは、情報発信者から送られた災害情報を集約し、情報伝達者向けに一括配信する役割を果たします。
Lアラートは、XML形式で記述された災害情報をHTTPプッシュ方式で配信する、国土交通省が管理・運用するシステムです。

情報発信者は、災害発生時にLアラートに接続し、災害情報を入力します。そして、入力された災害情報は、避難指示・勧告や避難所開設などの種類に応じて、XML形式で記述されます。
この情報発信者は、主に地方公共団体やライフライン事業者などです。

情報伝達者は、Lアラートから配信された災害情報を受け取り、自社のメディアに合わせて加工・編集し、地域住民に提供します。提供するメディアは、テレビやインターネットなど多種多様です。
この情報伝達者は、主に放送局やインターネットサービス事業者などが該当します。

Lアラートは、全国の自治体から収集した避難指示等の災害情報等を報道機関等に一斉に配信し、災害情報等を迅速かつ効率的に住民に伝達するためのシステム。
引用:総務省「Lアラートの概要」より

災害時情報共有システムの役割

災害時情報共有システムの役割には、以下のようなものがあります。

地域住民への迅速・正確・効率的な災害情報の提供

災害時には、地域住民が安全・安心に避難や生活を行うために必要な情報を迅速・正確・効率的に入手することが重要です。

災害時情報共有システムは、Lアラートを通じて一括配信された災害情報を多様なメディアで提供することで、このニーズに応えます。

情報発信者と情報伝達者の負担軽減

災害時には、情報発信者と情報伝達者が多くの時間と労力をかけて災害情報を作成・配信・伝達する必要があります。

災害時情報共有システムは、Lアラートで共通のデータ形式であるXML形式を採用することで、この負担を軽減します。

情報の一貫性と信頼性の確保

災害時には、情報発信者と情報伝達者が異なるデータ形式や手段で災害情報を作成・配信・伝達すると、情報の一貫性や信頼性が損なわれる可能性があります。

災害時情報共有システムは、Lアラートで一元的に管理・配信される災害情報を使用することで、この問題を防ぎます。

災害時情報共有システムの
利用方法と注意点

災害時情報共有システムの利用方法は、情報発信者と情報伝達者で異なるため、以下でそれぞれに分けて解説します。

情報発信者の利用方法と注意点

情報発信者とは、災害時に必要な情報を提供する主体のことで、主に地方公共団体やライフライン事業者などが該当します。

情報発信者は、Lアラートという共通の基盤に接続して災害情報を入力・送信することで、情報伝達者に配信できます。

情報発信者がLアラートに接続する手順

まずは、Lアラートの管理・運用機関である国土交通省からIDとパスワードを取得しましょう。IDとパスワードが取得できたら、Lアラートのウェブサイトにアクセスしてログインします。

ログインできたら、次に災害情報の種類を選択し、内容や対象地域などをXML形式で記述します。XML形式の記述方法は、Lアラートのウェブサイトに掲載されているマニュアルやサンプルで確認可能です。

必要な情報が記述できたら災害情報の送信ボタンを押し、Lアラートに送信します。送信後は、送信履歴や送信状況などを確認できます。

災害情報を送信する際の注意点

情報発信者が災害情報を送信する際は、迅速・正確・効率的に提供することが重要です。災害発生時には速やかにLアラートに接続し、必要な情報を入力・送信しましょう。

災害情報は、地域住民の安全・安心に関わる重要な情報です。そのため、内容や対象地域などを正確に記述し、誤った情報や重複した情報を送信しないように注意しなければなりません。

また、災害情報はLアラートから一括配信されるため、他の情報発信者や情報伝達者との連携や調整が必要です。そのため、Lアラートの利用規約やマニュアルなどを遵守し、不明な点や問題点があれば国土交通省や他の関係機関に連絡し、確認しましょう。

情報伝達者の利用方法と注意点

情報伝達者とは、情報発信者から送られた情報を地域住民に届ける役割を担うメディアのことで、主に放送局やインターネットサービス事業者などが該当します。

情報伝達者は、Lアラートから一括配信された災害情報を受け取り、自社のメディアに合わせて加工・編集し、地域住民に提供する重要な役割を果たします。

情報伝達者がLアラートから災害情報を受け取る手順

まずはLアラートの管理・運用機関である国土交通省からIDとパスワードを取得し、Lアラートのウェブサイトにアクセス後、ログインします。

次に、Lアラートから配信された災害情報をXML形式で受け取りましょう。受け取った災害情報は、自社のメディアに合わせて加工・編集することが可能です。

そして、加工・編集した災害情報をテレビやインターネットなどのメディアを使い、地域住民に提供します。提供するメディアは、テロップや音声、画像などのさまざまな形式で表示することが可能です。

情報伝達者が災害情報を提供する際の注意点

災害情報は、地域住民の安全・安心に関わる重要な情報です。そのため、内容や対象地域などを正確に伝え、誤った情報や重複した情報を提供しないように注意が必要です。

災害情報は、Lアラートから一括配信されるため、他の情報発信者や情報伝達者との連携や調整が必要となります。そのため、Lアラートの利用規約やマニュアルなどを遵守し、不明な点や問題点があれば国土交通省や他の関係機関に連絡し、確認しましょう。

また、災害情報は地域住民に迅速・正確・効率的に提供することが求められるため、Lアラートから配信された災害情報を速やかに受け取り、自社のメディアで提供する必要があります。そして、災害情報が更新された場合は、早急に最新の情報に差し替えることも重要です。

災害時情報共有システムを
導入する際の注意点

企業が災害時情報共有システムを導入する際は、まずシステム導入にあたって必要な準備や条件、コストなどを明確にしましょう。例えば、Lアラートの共通基盤に接続するためには、国土交通省からIDとパスワードの取得が必要です。また、システム利用に必要なIDやパスワード、連絡先などを案内することも重要です。

また、システム導入に伴うメリットだけでなく、デメリットやリスクも開示する必要があります。例えば、システムが正常に動作しない場合や、誤った情報や重複した情報を送信・提供してしまった場合などの対処法や責任分担を明確にすることが必要です。

そして、システムを導入した後で継続的に行うべき管理や更新、検証などの作業を説明しましょう。例えば、災害情報の内容や対象地域などを正確に記述し、Lアラートの利用規約やマニュアルなどを遵守し、不明な点や問題点があれば国土交通省や他の関係機関に連絡することが必要です。

このように、災害時情報共有システムは災害発生時に地域住民の安全・安心に関するきめ細かな情報を迅速・正確・効率的に提供するための有効なシステムです。
しかし、このシステムを導入するには、情報発信者と情報伝達者がそれぞれ適切な手順や注意点を理解し、協力して行う必要があります。

そこで、災害時情報共有システムの導入時の注意点を常に確認することで、災害対策や地域社会への貢献に役立てることができるでしょう。

災害時情報共有システムの
まとめ

災害時情報共有システムは、災害発生時における被害状況を国や自治体が迅速に把握・共有し、被災した施設や事業所への迅速かつ適切な支援につながる重要なシステムとしても注目されています。

近年は、地震や台風など、一般企業に甚大な被害を及ぼす災害が目立っています。そのため、企業が自社事業や従業員を守るために、独自の備えを行うことが重要です。

そこでおすすめなのが、防災ツール「クロスゼロ」の導入です。

「クロスゼロ」は、連絡先の共有や災害情報の確保、データ共有機能、防災グッズや備蓄品の管理など、企業の災害対策と事業継続に必要な対策がまとまっており、普段から業務のチャットツール・データ管理ツールとしても活用できます。

いつ、どこで起こるか予測のできない自然災害に対し、企業と従業員を守るための手段として、ぜひ「クロスゼロ」をご活用ください。

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