工事写真をSVGで管理するとどうなる?国交省の令和5年基準も合わせて解説!
2024/09/24
建設業界のデジタル化が進む中で、工事写真の管理方法も大きく変わろうとしています。
国土交通省による「デジタル写真管理情報基準」の改定により、写真ファイルの保存形式に「SVG形式」が明記され、工事写真のレイヤ化が認められました。
これにより、工事写真の管理や活用方法に革新的な変化が起こる可能性があります。
本記事では、SVG形式による工事写真管理の仕組みや具体的なメリット、そして導入時の注意点までを詳しく解説します。
SVG形式による工事写真のレイヤ化とは
従来の工事写真は、JPEGなどの画像形式で保存されていました。
しかし、この方法では、写真本体と電子小黒板の注釈が一体化してしまうため、以下のような課題がありました。
- 改ざんの容易さ
- 視認性の低さ
- 情報量の制限
これらの課題を解決するために、2023年3月に国土交通省が「デジタル写真管理情報基準」を改定し、SVG形式が工事写真の記録形式として認められました。
SVG形式は、ベクター画像形式の一種であり、写真本体、電子小黒板、注釈をそれぞれ異なるレイヤとして保存できます。
具体的には、写真本体と電子小黒板や注釈を独立して管理できるため、改ざん防止や視認性が向上します。
さらに、各レイヤに詳細な情報を書き込むことができるため、情報量の増加にもつながります。
SVG形式による工事写真のレイヤ化は、工事写真の管理をより効率的かつ安全に行うことを可能にする技術です。
工事写真レイヤ化とは
工事写真レイヤ化とは、SVGファイルを用いて工事写真を複数の層(レイヤ)で構成する技術です。
この技術により、原本画像の信頼性を維持しながら、マーカーや黒板情報を別のレイヤに分けて保存できるようになりました。
レイヤ化工事写真は「注釈レイヤ」「電子小黒板レイヤ」「写真(背景)レイヤ」の3層で構成されます。
例えば、配筋検査時に使用される鉄筋位置を示すホースやマグネットなどのマーカーを、元の写真とは別のレイヤに記録できます。
工事写真3.0時代
工事写真3.0時代は、建設業界のデジタル化を大きく進展させる新たな段階です。
従来の工事写真が単なる視覚的記録だったのに対し、3.0では「ビジュアル+現場情報(データ)」を一体的に記録します。
具体的には、写真に加えて場所、工種、材料、設計値、実測値などの詳細情報をデータとして保存します。
「工事写真1.0」と「工事写真2.0」そして「工事写真3.0」の違いをまとめると、以下の通りです。
工事写真1.0 | 工事写真2.0 | 工事写真3.0 | |
---|---|---|---|
特徴 | フィルムカメラ | デジタルカメラ | スマートデバイス |
保存方法 | 紙の台帳に保存 | エクセルに保存 | データを関係部署と共有 |
管理方法 | フィルム | JPEG形式 | SVC形式 |
1.0はフィルムカメラで撮影し、紙ベースで管理していたため、劣化や紛失のリスクがありました。
2.0ではデジタルカメラの普及により、画像管理の効率化が進みましたが、記録内容は依然として写真のみでした。
3.0は、スマートフォンアプリで撮影し、SVG形式で管理して、工事写真をあらゆる現場情報と連携できるようになりました。
国土交通省の「デジタル写真管理情報基準」
国土交通省の「デジタル写真管理情報基準」は、公共工事での写真の撮影方法や管理方法を定めた重要な指針です。この基準は、「建設業界のデジタル化を推進し、効率的な工事管理を実現するために定期的に見直されています。
2023年3月の改定で、電子納品時の工事写真の記録ファイル形式が変更されました。従来は「JPEGもしくはTIFF」形式に限定されていましたが、新基準では「JPEG、TIFFやSVG形式等」と拡大されました。
SVG(Scalable Vector Graphics)形式の導入は、建設業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を更に推進するための重要なステップです。SVG形式を使用すると、工事写真のレイヤを効果的に分離し、必要に応じて編集や分析を行うことが可能です。
SVG形式は拡大縮小しても画質が劣化しないベクター形式であるため、さまざまな画面サイズでの閲覧や印刷に適しています。これは、多様なデバイスでの確認が必要な建設現場では、大きなメリットです。
「デジタル写真管理情報基準」の改定は、建設現場のデジタル化を促進し、業務の効率化や品質向上につながる重要な変更といえるでしょう。
今後、SVG形式を活用した新たな工事写真管理システムの開発や導入が進むことが予想され、建設業界全体のDX推進に貢献すると期待されています。
SVGによる工事写真管理の具体的メリット
SVGによる工事写真管理の具体的メリットは、以下のとおりです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
高画質と軽量化の両立
従来のJPEG形式は、高画質で保存したい場合はファイルサイズが大きくなり、軽量化したい場合は画質が劣化する課題がありました。
一方、SVG形式はベクター形式の画像フォーマットであるため、解像度に依存せず、拡大縮小しても画質が劣化しません。
工事写真の場合、現場状況を詳細に記録する必要がありますが、JPEG形式では拡大すると画像が粗くなってしまう課題がありました。
SVG形式であれば、どんなに拡大しても鮮明な画像を維持でき、現場状況をより正確に記録できます。
また、ベクター形式はファイルサイズが軽量であるという特徴も持ち合わせています。
JPEG形式と比較すると、SVG形式は1/10程度に軽量化が可能です。
工事写真の場合、膨大な量の画像を扱うことになるため、ファイルサイズの軽量化は大きなメリットです。
ストレージ容量の節約や、データ転送時間の短縮などにつながるだけでなく、ネットワーク環境が整っていない現場でもスムーズに写真を取り扱えます。
編集・加工の容易さ
SVG形式は、写真への情報付与・編集が容易に行えるメリットがあります。
具体的には、以下のような編集・加工が可能です。
- 写真に矢印や線、テキストなどを書き込む
- 寸法線や面積計算などを書き込む
- 不要な部分を消す
- 複数の写真を合成する
- 写真の色味や明るさを調整する
- ぼかし加工やモザイク加工を施す
従来のJPEG形式では、これらの編集・加工は困難または不可能でした。
SVG形式であれば、写真にさまざまな情報を付与できます。また、SVG形式は、後から編集や修正も可能です。
例えば、撮影後に図形や線を描き足したり、テキストを修正したりできます。
写真撮影後に現場状況が変更になった場合でも、柔軟に対応できるのは、大きなメリットです。
検索性と管理効率の改善
SVG形式は、写真にさまざまな情報を付与できる特徴を持つため、検索性と管理効率を大幅に向上させられます。
具体的には、以下のことが可能です。
- メタデータ検索
- 属性検索
- タグ付け
従来のJPEG形式では、これらの検索機能は限定的でした。
SVG形式であれば、写真に付与された情報に基づいて多角的に検索できるため、膨大な量の工事写真の中から必要な写真を容易に見つけ出せます。
また、SVG形式は、写真管理システムとの連携も可能です。
写真管理システムにSVG形式の画像を取り込むことで、メタデータや属性情報に基づいて自動的に分類や整理ができます。
これにより、写真管理の負荷を軽減し、より効率的な写真管理を実現できます。
工事写真にSVGを使うデメリット
工事写真にSVG形式を使うデメリットには、以下のようなものが挙げられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
作成難易度がやや高い
SVG形式の画像は、ベクター形式で構成されているため、作成には専用のソフトウェアと知識が必要です。一般的な画像編集ソフトと異なり、パスやポイントを操作して画像を作成するため、習得にやや時間がかかるデメリットがあります。
また、複雑な画像を作成する場合には、より高度な技術が必要です。特に、写真のようなリアルな画像をSVG形式で表現するには、高度な専門知識と経験が求められます。
ただし、SVG形式を作成できるソフトウェアやオンラインで利用できるツールも増えてきています。
また、SVG形式の画像を作成するためのチュートリアルやガイドも充実しているため、ある程度の学習時間があれば、誰でもSVG形式の画像が作成可能です。
SVG形式の画像は作成難易度がやや高いデメリットがありますが、さまざまなツールやサービスが登場しているため、克服しやすい状況になりつつあります。
古いブラウザでは非対応の可能性がある
SVG形式は比較的新しい画像フォーマットであり、すべてのブラウザで対応しているわけではありません。
特に、古いバージョンのブラウザでは、SVG形式の画像を正しく表示できない可能性があります。
具体的には、以下のブラウザがSVG形式に完全対応していない可能性があります。
- Internet Explorer11以前
- Microsoft Edge (旧バージョン)
- Androidブラウザ4.0以前
- iOS Safari6以前
これらのブラウザを使用している場合は、SVG形式の画像が正しく表示されなかったり、一部の機能が利用できなかったりする可能性があるため注意が必要です。
しかし、最近では主要なブラウザはSVG形式を標準でサポートしており、最新バージョンであれば問題なく表示できます。
また、SVG形式の画像をJPEG形式などの他の画像フォーマットに変換するツールも登場しています。
これらのツールを使用すれば、古いブラウザでもSVG形式の画像も閲覧可能です。
SVG導入時の注意点
SVG導入する際は、以下の点に注意する必要があります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ランニングコストがかかる
SVG形式による工事写真の管理は多くの利点がありますが、導入時にはランニングコストを考慮する必要があります。
SVGファイルの作成や編集には専門的なソフトウェアが必要となり、これらのライセンス料が定期的に発生します。
また、「SVGファイルを効率的に管理・共有するためのクラウドストレージやサーバーの維持費用も考慮すべきです。
さらに、従業員のトレーニングコストも無視できません。
SVG形式の特性や編集方法、新しい管理システムの使用法など、スタッフの育成に時間と費用がかかります。
運用ルールやマニュアルの作成
SVG形式の工事写真をスムーズに運用するためには、運用ルールやマニュアルを作成する必要があります。
運用ルールやマニュアルに記載する内容には、以下のようなものが挙げられます。
ファイル名・フォルダ構成 | 写真の撮影日や撮影場所などが分かるように、ファイル名やフォルダ構成を統一 |
---|---|
写真の撮影方法 | 写真の解像度やアスペクト比、撮影角度などを統一 |
写真の編集・保存方法 | 写真に注釈やマーカーを追加する際の方法や保存する場所や方法 |
写真の閲覧方法 | 写真を閲覧する際の権限や手順 |
写真の廃棄方法 | 写真を廃棄する際の基準や手順 |
SVG形式で工事写真を管理するには、運用ルールやマニュアルの作成が重要です。
運用ルールやマニュアルを作成すれば、写真の品質統一、検索・閲覧容易化、改ざん防止、納品ミス削減などのメリットが得られます。
まとめ
本記事では、SVG形式による工事写真のレイヤ化に関して解説しました。
国土交通省の「デジタル写真管理情報基準」の改定により、SVG形式が正式に認可され、建設業界のデジタル化が加速しています。
SVG形式を用いた工事写真管理には、高画質維持、編集の容易さ、データ管理の効率化などの具体的なメリットがあります。
一方で、専門ソフトウェアの必要性などのデメリットも存在するため注意が必要です。
効果的なSVG形式の工事写真管理を実現するには、専門的なツールが不可欠です。
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