施工管理の6大管理とは?建設現場で必要な管理項目とポイントを紹介
2025/12/03
建設現場の施工管理において、プロジェクトを成功に導くには多岐にわたる管理業務が求められます。
中でも重要なのが「6大管理」です。
6大管理とは、品質管理・原価管理・工程管理・安全管理・環境管理・労務管理の6つのことを指します。
これらを適切にコントロールすることで施工のトラブルを未然に防ぎ、納期・コスト・品質・安全を守ります。
本記事では、施工管理における6大管理の内容や実践ポイント、4大管理・5大管理との違いを解説します。
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施工管理の6大管理を効率的に実践するには、現場情報の一元管理やリアルタイムな共有が欠かせません。
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施工管理の6大管理とは?
施工管理の6大管理は、建設工事を計画通りに進め、品質・コスト・納期・安全・環境・労働環境を適切に管理するための体系です。
品質・原価・工程・安全・環境・労務の6つを総合的に実施し、プロジェクトを円滑に成功へと導きます。
従来の4大管理(品質・原価・工程・安全)や5大管理(4大管理+環境)に労務管理を加えたもので、特に大規模・長期の工事で重視されます。
各項目は相互に密接に関連しており、一つの管理の不備が他に悪影響を及ぼす可能性があります。
6大管理の定義と重要性
施工管理の6大管理とは、品質・原価・工程・安全・環境・労務の6項目を体系的に実施し、現場の安全性・品質・納期・コスト・環境配慮・労働環境を統合的に守る管理手法です。
各管理項目の目的は以下の通りです。
- 品質管理:設計図書通りの品質を確保する。
- 原価管理:工事費用を予算内に収め、利益を確保する。
- 工程管理:工事を計画通りに進め、納期を遵守する。
- 安全管理:作業員の安全を守り、労働災害を防止する。
- 環境管理:工事による環境への影響を最小限に抑える。
- 労務管理:作業員の配置や健康を管理し、安定した施工体制を維持する。
6大管理の徹底により、工事のトラブルを未然に防ぎ、品質向上・コスト削減・納期遵守・安全確保を同時に実現します。
特に大規模工事では人員が多いため、労務管理の重要性が増します。
4大管理・5大管理との違い
4大管理は品質・原価・工程・安全、5大管理はそれに環境管理を、6大管理はさらに労務管理を加えたものです。
4大管理は小規模工事で、5大管理は環境配慮が求められる公共工事などで標準的に用いられます。
6大管理は、特に大規模・長期の工事で重要視されます。
労務管理を独立させることで、作業員の健康管理や適切な人員配置を体系的に実施でき、品質低下や安全事故のリスクを低減します。
近年は働き方改革の観点から6大管理を採用する現場が増えています。
施工管理における6大管理の位置づけ
6大管理は、現場の安全・品質・納期・コストを守り、プロジェクトを成功に導く中核となる管理体系です。
施工管理者はこれら6項目を実践し、バランスを取りながら工事全体をコントロールします。
例えば、納期を優先して品質が疎かになったり、コスト削減のために安全対策を怠ると、重大な問題に繋がる恐れがあります。
6つの管理は相互に影響するため、全体を俯瞰した判断が求められます。
そのためには、関係者間の情報共有が不可欠であり、図面や工程表、各種記録の情報を一元管理し、リアルタイムに共有できる体制が重要です。
ITツールや施工管理アプリの活用は、6大管理を効率化する上で有効です。
施工管理の6大管理①:品質管理
品質管理の目的と役割
品質管理の目的は、設計図書や仕様書で定められた品質基準を満たす構造物を完成させ、発注者や利用者に安全で高品質なものを提供することです。
主な役割は、使用材料の品質確保、施工プロセスの管理、完成物の検査、品質記録の作成を通じて、欠陥や不具合を防止することです。
適切な品質管理は、手戻りによるコスト増大や工程遅延を防ぎ、企業の信頼性向上にも貢献します。
品質管理の管理内容
品質管理においては、施工の各段階で厳格な検査と記録の作成が不可欠です。
まず、材料検査では、現場に納入された材料が仕様書に適合しているかを確認します。
次に、施工検査として、施工中の各工程で手順や方法が正しいかをチェックします。
構造物が完成すると、出来形検査が行われ、寸法や形状が設計図書通りに仕上がっているかを最終確認します。
また、これらの検査と並行して、コンクリート強度試験などの品質試験も実施し、品質を定量的に評価します。
最後に、これら全ての検査結果や写真は品質記録として作成・保管されます。これにより、施工プロセスの履歴管理が可能になります。
品質管理の実践ポイント
品質管理を実践する上では、検査の抜け漏れ防止、記録の徹底、関係者間の情報共有が重視され、品質不良を早期に発見し迅速に是正することが重要です。
これを実現するため、まず着工前に検査項目、実施時期、合否基準を明確にした検査計画を策定し、計画に基づいて検査を進めます。
施工中は、定期的な巡回や中間検査を通じて問題を早期に発見し、手戻りを最小限に抑えるための早期是正に努めます。
また、施工前・施工中・施工後の写真記録も徹底し、施工状況の証拠として確実に保管します。
さらに、検査結果や是正措置の内容はチーム全体で情報共有することで、同様の問題の再発を防止します。
施工管理の6大管理②:原価管理
原価管理の目的と役割
原価管理の目的は、工事費用を予算内に収め、無駄なコストを削減することで、適切な利益を確保し、企業の収益性を高めることです。
主な役割は、予算の策定と比較管理、コストの正確な把握と分析、コスト削減策の実施です。
予算超過を防ぎ、企業の経営を支える上で不可欠な管理項目です。
原価管理の管理内容
原価管理では、予算策定から実行予算の管理、実際原価の把握、原価分析、コスト削減施策の実施まで、一連の活動を行います。
具体的な内容として、まず工事開始前に材料費や労務費などの詳細な予算策定を行います。
施工中は、工事の進捗に応じて実績コストと予算を比較する実行予算の管理と、発生したコストを正確に記録・集計する実際原価の把握が重要です。
さらに、予算との差異が生じた場合はその原因を原価分析し、改善策を検討します。
そして、材料の効率的な発注や作業手順の改善といったコスト削減施策の実施を通じて無駄を削減します。
原価管理の実践ポイント
原価管理の実践では、予算と実績の定期的な比較、予算超過への早期対策、コストデータの正確な記録が重要です。
品質や安全を犠牲にせず、コスト削減を図ります。
実践ポイントとしては、月次などで予算と実績を定期的に比較し、問題の兆候を早期に把握することが挙げられます。
また、記録の漏れやミスが管理精度を低下させるため、コストデータを正確に記録することが不可欠です。
あわせて、材料の無駄や非効率な作業を特定し改善する無駄の削減と効率化も進めます。
特に、工程遅延や品質不良は原価の増加に直結するため、他の管理項目との連携が極めて重要です。
施工管理の6大管理を効率的に実践し、現場のデータを一元管理するには、ITツールの活用が欠かせません。
「PRODOUGU」は、写真管理・図面管理・データ共有をクラウドで実現し、品質管理・工程管理・原価管理をサポートする施工管理アプリです。
施工管理の6大管理③:工程管理
工程管理の目的と役割
工程管理の目的は、工事の進捗を計画通りに進め、納期を遵守することで、発注者との約束を守り、企業の信頼性を確保することです。
主な役割は、工程表の作成、日々の進捗監視、必要に応じた工程調整、遅延の早期発見と対策です。
工程の遅れは原価の増加や品質低下にも繋がるため、他の管理項目との連携が重要です。
工程管理の管理内容
工程管理では、工程表の作成、日々の進捗管理、工程会議の開催、工程調整、遅延対策を実施します。
まず着工前に全体・月間・週間工程表を作成し、作業計画を明確にすることが含まれます。
施工中は日々の進捗管理として毎日の作業進捗を記録し、計画との差異を確認します。
また、定期的に工程会議を開催して関係者と進捗や予定を共有し、連携を強化します。
天候不良といった予期せぬ事態が発生した場合は、作業の並行実施などで柔軟に工程調整を行います。
万が一、遅延が発生した際には、原因を分析し人員追加などの遅延対策を迅速に実施します。
工程管理の実践ポイント
工程管理の実践では、現実的な計画策定、進捗の可視化、関係者との情報共有、遅延への早期対策が重要です。
納期遵守と品質・安全確保の両立を目指します。
実践する上でのポイントは、まず過去の実績をもとに、余裕を持たせた現実的な工程計画を立てることです。
次に、工程表やグラフを用いて進捗状況を可視化し、遅れの兆候を早期に発見できるようにします。
さらに、朝礼や会議の場で関係者との情報共有を密に行い、効率的な作業を促します。
もし遅れが発見された場合は、早期の遅延対策を迅速に講じ、影響を最小限に抑えることが重要です。
施工管理の6大管理④:安全管理
安全管理の目的と役割
安全管理の目的は、現場で働く作業員の安全を守り、労働災害や事故を防止することで、作業員の生命と健康を確保し、企業の社会的責任を果たすことです。
主な役割は、危険要因の特定・排除、安全教育の実施、安全設備の設置、安全点検の実施、事故発生時の迅速な対応です。
安全な現場は作業効率の向上にも繋がります。
安全管理の管理内容
安全管理では、危険予知活動(KY活動)、安全教育、安全点検、安全設備の設置、事故防止対策を実施します。
具体的な内容としては、作業前に危険を予測し対策を全員で検討する危険予知活動により、安全意識を高めます。
また、現場に入る人への安全教育や定期的な教育を実施し、安全に関する知識と技能の習得を図ります。
現場では、日々の巡視や定期点検による安全点検を実施し、危険箇所を早期に発見して速やかに改善します。
加えて、安全帯や手すりなどの安全設備を設置し、保護具の着用を徹底させます。
万が一事故が発生した際は、迅速な救護と原因分析、再発防止策の策定を行います。
安全管理の実践ポイント
安全管理の実践では、作業員の安全意識向上、危険予知活動の徹底、安全点検の確実な実施、安全設備の適切な設置を重視し、事故を未然に防ぎます。
- 作業員の安全意識向上:教育やKY活動を通じ、作業員自らが危険を予測し対策する風土を作ります。
- 危険予知活動の徹底:毎日のKY活動を形式化させず、実効性のあるものにします。
- 安全点検の確実な実施:日々の点検を確実に実施し、危険箇所を速やかに改善します。
- 安全設備の適切な設置:必要な安全設備を確実に設置し、保護具の着用を徹底します。
施工管理の6大管理⑤:環境管理
環境管理の目的と役割
環境管理の目的は、工事による環境への影響を最小限に抑え、周辺環境や地域住民への配慮を徹底することで、環境保全と社会的責任を果たすことです。
主な役割は、騒音・振動・粉塵の抑制、廃棄物の適正処理、排水管理、周辺住民への配慮です。
環境管理の不備は、苦情や行政指導に繋がりかねません。
環境管理の管理内容
環境管理では、騒音・振動対策、粉塵対策、廃棄物管理、排水管理、周辺住民への説明を実施します。
- 騒音・振動対策:低騒音の機械の使用や防音シートの設置、作業時間の制限を行います。
- 粉塵対策:散水や防塵シートの使用により、粉塵の飛散を抑制します。
- 廃棄物管理:廃棄物を適切に分別し、マニフェストで適正処理を確認します。
- 排水管理:排水を処理し、水質基準を満たした上で排水します。
- 周辺住民への説明:工事前に内容や対策を説明し、理解と協力を得ます。
環境管理の実践ポイント
環境管理の実践では、法令・条例の遵守、周辺住民への配慮、環境対策の確実な実施、環境記録の作成が重要です。
実践する上でのポイントは、騒音規制法などの関連法令・条例を遵守し、行政指導を回避することです。
また、事前の説明や苦情への迅速な対応を通じて周辺住民へ配慮し、良好な関係を維持することも重要です。
もちろん、必要な環境対策を確実に実施し、環境への影響を最小限に抑えなければなりません。
さらに、騒音の測定結果などを環境記録として作成し、管理状況を証明できるようにしておくことも求められます。
施工管理の6大管理⑥:労務管理
労務管理の目的と役割
労務管理の目的は、作業員の配置、健康、労働時間を適切に管理し、安定した施工体制を維持しながら、効率的な施工を実現することです。
主な役割は、人員配置の最適化、作業員の健康管理、労働時間の管理、技能レベルの把握、労働環境の改善です。
労務管理の不備は、品質の低下や安全上の事故につながるため、適切な管理が求められます。
労務管理の管理内容
労務管理では、人員配置計画の策定、作業員の健康管理、労働時間の管理、技能レベルの把握、労働環境の改善を総合的に行います。
具体的な内容としては、まず工事の進捗に応じた人員配置計画を策定し、必要な人員を計画的に配置します。
作業員の健康管理も重要であり、定期的な健康診断や日々の体調確認を通じて過労や体調不良を防ぎます。
また、労働基準法を遵守した労働時間の管理を行い、適切な休憩や休日を確保します。
さらに、作業員の技能レベルを把握することで、適材適所の配置を実現します。
休憩所や熱中症対策といった労働環境の改善も行い、働きやすい現場を整備します。
労務管理の実践ポイント
労務管理の実践では、作業員の健康と安全を最優先し、適切な人員配置、労働時間の管理、労働環境の改善を通じて、安定した施工体制を維持することが重要です。
- 健康と安全を最優先:体調不良や過労の兆候を早期に発見し、迅速に対応します。
- 適切な人員配置:過不足のない人員配置により、工程遅延やコスト増を防ぎます。
- 労働時間の適切な管理:過重労働は品質低下や事故の原因となるため、法令を遵守します。
- 労働環境の改善:働きやすい現場は作業員の士気向上に繋がります。
施工管理の6大管理を
現場で実践するためのポイント
6大管理のバランスと相互関係
6大管理は相互に密接に関連しており、一つの管理を優先して他が疎かになると問題が発生するため、全体を俯瞰しバランスの取れた管理が重要です。
例えば、工程を優先しすぎて品質管理が不十分になれば、手戻りが発生し、結果的に工期が遅延します。
また、コスト削減を重視するあまり安全対策を削れば、重大な事故につながりかねません。
さらに、環境対策を怠れば、近隣からの苦情や行政指導により工事が中断するリスクもあります。
施工管理者は常に全体のバランスを考慮し、優先順位を判断する能力が求められます。
ITツール・システムの活用による効率化
6大管理を効率的に実践するには、ITツールやシステムを活用し、現場データを一元管理してリアルタイムに情報共有できる体制が重要です。
ITツールにより、写真や図面の管理、各種データの共有が効率化され、検査業務の精度も向上します。
施工管理者は本来の管理業務に集中でき、現場全体の生産性向上に繋がります。
チーム全体での情報共有と連携
6大管理を効果的に実践するには、施工チーム全体での情報共有と連携が不可欠です。
情報共有により、トラブルの早期発見や迅速な意思決定が可能になり、作業の重複や漏れを防ぎます。
定期的な会議の開催やクラウド型システムの導入など、情報を共有する仕組みを整えることで、一体感のある施工体制を構築できます。
まとめ
施工管理の6大管理(品質・原価・工程・安全・環境・労務)は、建設現場の様々な側面を統合的に守るための管理体系です。
各項目は相互に関連しているため、バランスの取れた管理が求められます。
6大管理を現場で効果的に実践するには、各項目の目的と内容を理解し、全体を俯瞰して判断することが重要です。
また、ITツールを活用して現場データを一元管理し、リアルタイムな情報共有体制を築くことで、管理業務は大幅に効率化されます。
「PRODOUGU」は、現場の写真管理や図面管理、情報共有の課題を解決し、建設DXを推進するアプリです。
電子小黒板による写真管理の効率化や、CADデータを直接取り込んで計測できる図面管理機能などが、スマートな働き方を実現します。
本記事で解説した知識が、日々の施工管理業務の一助となれば幸いです。
KENTEM(株式会社建設システム)が提供する「PRODOUGU」のような施工管理アプリは、写真・図面・データの共有をクラウドで実現し、6大管理の実践をサポートします。
建設現場では、写真整理や図面確認などの"ちょっとした作業"が積み重なり、大きなムダや残業につながります。こうした課題を解決し、現場の効率化を実現するのが施工管理アプリ「PRODOUGU」です。
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