遠隔臨場システムとは?使い方や国から推進されている理由・メリットデメリットを解説
2024/10/10
2024/11/28
建設現場のDX化が進む中、注目を集めているのが「遠隔臨場システム」です。
従来、現場監督は直接現場に足を運んで検査や確認を行っていましたが、遠隔臨場システムを導入すれば、リアルタイムに状況を把握できます。
本記事では、遠隔臨場システムの概要や使い方、メリット・デメリット、そして国が推進する理由を解説します。
遠隔臨場システムの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
遠隔臨場システムの概要
遠隔臨場システムの導入を検討するためには、システムに関して理解しなければなりません。
ここでは遠隔臨場システムの内容や目的、使い方に関して解説します。
遠隔臨場システムとは?
遠隔臨場システムは、建設現場の監督や検査員が、現場に移動せず、ウェブカメラを通じてリアルタイムに現場状況を確認できるシステムです。
現場作業員が装着したカメラを通じて、遠隔地にいる監督者がリアルタイムで現場の状況を確認し、必要な指示を出すことが可能です。
主に「段階確認」「材料確認」「立会」といった作業に活用され、発注者側の監督職員が現場に赴くことなく、効率的に業務を遂行できる点が大きな特徴です。
遠隔臨場システムの目的
遠隔臨場システムの主な目的は、建設業界の生産性向上と働き方改革の推進にあります。
具体的な目的には、以下のようなものが挙げられます。
効率化とコスト削減 |
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安全性の向上 |
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業務範囲の拡大 |
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情報共有と可視化 |
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遠隔臨場システムは、建設現場の抱える課題を解決し、関係者全体の負担軽減や安全性の向上の推進につながります。
遠隔臨場システムの使い方
遠隔臨場システムの使い方は、基本的に以下の流れで行われます。
- 作業員がウェブカメラを装着もしくは、固定カメラを設置
- Web会議システムを通じて、現場の映像と音声を遠隔地の監督者に送信
- 監督者は、リアルタイムで現場の状況を確認し、必要に応じて指示
「段階確認」「材料確認」「立会」などの作業を、この方法で実施します。
遠隔臨場システム導入の
メリット・デメリット
ここでは、遠隔臨場システム導入のメリット・デメリットを見ていきましょう。
遠隔臨場システム導入のメリット
遠隔臨場システム導入の主なメリットは、以下のとおりです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
移動時間・コスト削減
遠隔臨場システム導入のメリットの一つは、移動時間・コストの削減です。
現場監督や検査員が、従来であれば現場に赴かなくてはならなかった作業を、遠隔で実施できるようになります。
具体的には、以下のような効果が期待できます。
- 長距離移動にかかるコスト削減
- 待機時間の削減
- 複数現場の同時管理
さらに、遠隔臨場システムは、新型コロナウイルス感染症の流行対策にも有効なシステムです。
人手不足の解消
遠隔臨場システム導入のもう一つのメリットは、人手不足の解消です。
建設業界をはじめ、近年多くの業界で深刻な人手不足が問題となっています。
遠隔臨場システムなら、限られた人材を効率的に活用でき、人手不足による業務遅延や品質低下を防げます。
具体的に期待できる効果は、以下のとおりです。
限られた人材を有効活用 |
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人材育成の効率化 |
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人材派遣コストの削減 |
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遠隔臨場システムは、建設業界だけではなく、製造業やサービス業など、人手不足に悩むあらゆる業界で有効な手段です。
作業効率の向上
遠隔臨場システムの導入により、作業効率が向上します。
従来の方法では、監督者が現場に到着するまで作業を中断せざるを得ないケースが多くありましたが、このシステムを導入すれば、リアルタイムで確認や承認を得られるようになるでしょう。
また、広範囲にわたるインフラ点検やメンテナンス、災害復旧作業などでも、遠隔臨場システムは効果を発揮します。
例えば、橋梁やトンネルなどの点検では、専門家がわざわざ現地に赴かなくても、遠隔地からドローンやロボットカメラで詳細な状況を把握できます。
さらに、遠隔臨場システムを導入すれば、複数拠点の同時管理が可能です。
遠隔臨場システム導入のデメリット
遠隔臨場システム導入の主なデメリットは、以下のとおりです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
導入コストがかかる
遠隔臨場システム導入のデメリットの一つは、初期費用とランニングコストの発生です。
初期費用やランニングコストには、以下のようなものが挙げられます。
初期費用 |
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ランニングコスト |
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これらの費用は、導入するシステムや規模、利用状況によって大きく異なりますが、数百万から数千万円程度かかる場合が多いです。
特に、大規模なシステムや高機能なシステムを導入する場合には、費用が高額になる傾向があります。
また、システムを導入するだけではなく、現場作業員や関係者への教育・研修にかかる費用も考慮しなければなりません。
通信環境への依存
遠隔臨場システムのデメリットの一つは、通信環境への依存です。
安定した高速通信環境がなければ、映像や音声の品質が低下し、円滑なコミュニケーションが妨げられます。
重要な工程の検査や立会を行う場合は、事前に通信環境を十分に確認しておくことが重要です。
具体的には、以下の点に注意する必要があります。
- 回線速度
- 通信の安定性
- 遅延
通信環境は、遠隔臨場システムの利用可能性を大きく左右します。
運用ルールの整備
遠隔臨場システムを円滑に運用するためには、運用ルールの整備が不可欠です。
ルールがないと、システムの利用方法や責任分担が曖昧になり、トラブルが発生する可能性があります。
運用ルールに盛り込む内容には、以下のようなものが挙げられます。
- システムの利用目的
- 映像・音声の取り扱い
- トラブル発生時の対応
- セキュリティ対策
- 責任分担
運用ルールは、関係者全員が共有する必要があります。
また、必要に応じて見直しを行い、常に最新の状態を保つことが重要です。
遠隔臨場システムが
推進されている理由
国が遠隔臨場システムを積極的に推進している主な理由は、建設業界の抱える課題解決と産業全体の近代化にあります。
少子高齢化による労働力不足や長時間労働の是正、生産性向上の必要性など、建設業界は多くの問題に直面しています。
これらの課題に対する有効な解決策の一つとして期待されているのが、遠隔臨場システムの導入です。
また、国土交通省や内閣府は以下のような取り組みを行っています。
国土交通省の取り組み
国土交通省は、建設現場でのICT活用を推進する「i-Construction」の一環として、遠隔臨場システムの導入を積極的に支援しています。
i-Construction
i-Constructionは、建設現場でのICTの全面的な活用を目指す取り組みです。
遠隔臨場システムは、i-Constructionの重点施策の一つであり、建設現場の効率化や安全性の向上への貢献が期待されています。
遠隔臨場ガイドライン
国土交通省は、i-Constructionに基づき「建設現場における遠隔臨場の実施要領(案)」を策定しました。
要領案では、遠隔臨場システムの具体的な運用方法や、必要な設備、関係者の役割分担などの指針を示しています。
また、遠隔臨場システム導入の際の留意点や、参考となる事例なども掲載されているため参考にしてください。
内閣府の取り組み
内閣府は、遠隔臨場システムの推進で、PRISM(官民研究開発投資拡大プログラム)を重要な施策として位置づけています。
PRISMは、「Public/Private R&D Investment Strategic Expansion PrograM」の略称で、官民連携による科学技術イノベーションの創出を目指した取り組みです。
プログラムの中で、「革新的建設・インフラ維持管理技術」がターゲット領域の一つとして設定されており、遠隔臨場システムもその一環として開発が進められています。
まとめ
遠隔臨場システムは、建設現場の監督・確認作業をリモートで行う革新的なツールです。
ウェアラブルカメラとWeb会議システムを活用し、現場に赴くことなく効率的な業務遂行を可能にします。
このシステムには、作業効率の向上や移動時間・コストの削減などのメリットがある一方、導入コストや通信環境の整備といった課題も存在します。
国土交通省や内閣府も働き方改革を推進するために、遠隔臨場システムの普及を支援していますが、まだまだ普及が進んでいないのが現状です。
より効率的な遠隔臨場と施工管理を実現するためには、専門的なツールの活用が不可欠です。
そこでおすすめなのが、遠隔臨場 SiteLive(サイトライブ)です。
遠隔臨場 SiteLiveは、遠隔臨場に特化した撮影・配信システムです。従来の監督職員が現地で立会のもと行っていた臨場確認に代えて、スマートデバイスで映像配信し、非対面で臨場が行えます。
遠隔臨場の対象検査である「材料確認」「段階確認」「確認・立会」の各検査項目が管理できるので、受発注者双方の確認・管理が容易になります。
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