
現場管理費の相場を知ろう!内訳や算出ポイントを詳しく解説
2025/04/08
「現場管理費の相場はどのくらいなのか」
「工事の規模によって相場はどう変わるのか」
建設工事の見積もりを作成する際に、このような疑問を持つ方は少なくないでしょう。
現場管理費の相場は工事の規模や種類、場所によって大きく異なります。
工事でしっかり利益を上げるためには、相場を正しく把握したうえで見積もりを行うことが欠かせません。
本記事では、現場管理費の基本的な考え方から、工事規模別の相場、具体的な内訳項目、適切な金額を算出するためのポイントまでを詳しく解説します。
建設工事の見積もりや予算管理を適切にする基本的理解を深めたい方は、参考にしてください。
そもそも現場管理費とは?
現場管理費は、工事を円滑に進めるために必要不可欠な経費です。
工事原価を構成する要素の一つとして、適切な見積もりと管理が求められます。
工事原価は、大きく「純工事費」と「現場管理費」の2つに分類されるのが一般的です。
純工事費はさらに、建材などの材料費を含む「直接工事費」と、現場事務所などの仮設物にかかる「間接工事費」に分けられます。
一方、現場管理費には事務用品費や作業服の手配費用など、工事には直接関係しないものの、現場運営に欠かせない費用が含まれます。
現場管理費の算出方法は、以下のとおりです。
- 経費を積み上げて計算する方法
- 現場管理費率(パーセント)を使用する方法
実務では、国土交通省が定める「公共建築工事共通費積算基準」に基づいた現場管理費率による算出が一般的です。
計算の正確性を高めるため、見積りソフトや積算ソフト、業務管理システムなどのツールも活用されています。
一般管理費や諸経費との違い
建設工事では「現場管理費」と「一般管理費」があります。
二つの経費は、全く異なる性質を持つ経費であり、正しく理解する必要があります。
現場管理費は、特定の工事現場を運営・管理するために必要な費用です。
一方、一般管理費は企業全体の運営に関わる費用であり、特定のプロジェクトや現場に直接関連しない、広範な管理活動をサポートするための費用です。
以下の表で、主な違いを分かりやすく整理してみましょう。
現場管理費 | 一般管理費 | |
---|---|---|
定義 | 工事現場の運営に必要な費用 | 会社全体の運営に必要な費用 |
費用の特徴 | 工事ごとに個別に発生 | 全ての工事に共通して発生 |
例えば、同じ「給与」でも以下のような違いがあります。
- 現場で働く作業員の給与 → 現場管理費(特定の工事に関連)
- 本社で経理を担当する社員の給与 → 一般管理費(会社全体の運営に関連)
適切な工事費積算のためには、以下の3つのポイントを意識しましょう。
- 費用が発生する場所(特定の現場か会社全体か)
- 費用の対象者(現場作業員か本社従業員か)
- 費用の目的(個別工事の遂行か会社全体の運営か)
これらの違いを正しく理解し、適切に区分すれば、より正確な工事費の積算が可能になります。
特に見積もり作成時には、現場管理費と一般管理費の区分を明確にできるようになれば、工事の収益性を適切に判断できるでしょう。
現場管理費の相場は?
建設工事での現場管理費の一般的な相場は、工事全体の費用の5〜10%程度です。
相場が設定される理由は、現場管理費が工事を円滑に進めるための必要不可欠な経費だからです。
労務管理費や法定福利費など、工事に直接は関係しないものの、現場運営には欠かせない費用が含まれています。
現場管理費は一定の相場はあるものの、個々の工事の特性に応じて適切に設定する必要があります。
見積書作成の際、諸経費の記載方法には2つのアプローチがあります。
内訳を詳細に記載する方法と、総額のみを記載する方法です。
建設業界では一般的に総額のみの記載が慣習となっていますが、施主との信頼関係構築のために、内訳の説明ができる体制を整えておくことが大切です。
適切な諸経費の設定は、工事の収益性に影響します。
そのため、過去の実績データや工事の特性を十分に考慮しながら、現実的な諸経費率を設定する必要があります。
規模と種類で異なる現場管理費の相場
現場管理費の相場は、一般的に総工事費の5%から15%の範囲で設定されます。
ただし、この割合は工事の規模や特性によって変動します。
工事区分 | 現場管理費率 | 主な特徴 |
---|---|---|
小規模工事(~5,000万円) | 10〜15% | 住宅建設、小規模商業施設など |
中規模工事(~5億円) | 7〜12% | 商業施設、公共施設など |
大規模工事(5億円~) | 5〜10% | 高層ビル、大規模インフラなど |
特に現場の規模と工期は、現場管理費に大きな影響を与えます。
例えば、数か月にわたる工事現場では、現場監督の人件費だけでも100万円単位の費用が発生します。
一方、短期間で完了する現場では、5%以下に収まるケースもあるでしょう。
地域による違いも重要な要素です。
駐車場料金を例にとると都市部では、1台あたり月額45,000円もの差が生じることがあります。
都市部で2,000円、地方で500円の日額駐車場料金の場合、10台分を1か月計上すると、その差額だけで45万円にも達する計算です。
運搬費や地代家賃なども都市部では地方より高額になる傾向にあります。
同じ工事内容でも、都心部と郊外では必要な経費が異なります。
見積もり形式の違いにも注意が必要です。
建材の運搬費を現場作業費として計上するか、諸経費に含めるかで、本体工事費と現場管理費の割合は変化します。
特に、現場監督の人件費の計上方法によって、パーセンテージは変動します。
工事を成功させるためには、これらの要因を総合的に判断し、適切な現場管理費を設定しなければなりません。
現実的な管理体制の構築が、予算内での工事完了には不可欠となります。
現場管理費の内訳
現場管理費は、工事原価に影響する17の重要項目で構成されています。
主要な項目は「人件費関連」「管理費用」「その他経費」の3つに分類できます。
具体的な項目は、以下のとおりです。
分類 | 項目 | 具体的な内容 |
---|---|---|
人件費関連 | 作業員の給料手当 | 現場管理者・作業員の基本給与と諸手当 |
法定福利費 | 社会保険料、労災保険料の事業主負担分 | |
労務管理費 | 作業用衣類・用具、通勤費、食費など | |
退職金 | 現場作業従業員の退職給付金 | |
福利厚生費 | 健康診断、慶弔見舞金など | |
管理費用 | 安全訓練費用 | 安全教育、協力会社との安全大会費用 |
事務用品費 | パソコン、コピー機、文具など | |
通信交通費 | 電話代、郵送費、インターネット費用 | |
動力・用水光熱費 | 現場での電気、水道などの使用料金 | |
保険料 | 工事保険、火災保険、自動車保険など | |
その他経費 | 租税公課 | 契約書や申請書の印紙代、証紙代 |
補償費 | 第三者への損害補償費用 | |
外注経費 | 協力企業への外注費用 | |
交際費 | 起工式、落成式などの諸費用 | |
工事登録費用 | 工事実績の登録関連費用 | |
労務費調査費用 | 社会保険加入状況などの調査費用 | |
雑費 | 上記に含まれない諸経費 |
上記の項目を適切に管理すれば、工事の収益性に直結します。
例えば、入札案件では、現場管理費の見積もりが高すぎると受注が難しくなり、逆に低すぎると赤字工事となるリスクが高まるため注意が必要です。
そのため、過去の実績データを参考にしながら、工事の特性や規模に応じて、これらの項目を適切に見積もるようにしましょう。
特に人件費関連項目は全体の大きな割合を占めるため、慎重な検討が必要です。
現場管理費を算出する際のポイント
現場管理費を算出する際には、工事の収益性を左右する大切な要素です。
算出の際には、工事の特性や現場の条件、必要な管理体制など、さまざまな要素を総合的に判断しなければなりません。
ここでは、現場管理費を適切に算出するためのポイントを、実務的な観点から解説します。
現場管理費率を決める際に考慮すべき要素
現場管理費率は、工事の特性や条件によって適切な値が変わってきます。
効率的な工事運営のためには、さまざまな要素を総合的に判断する必要があります。
工事現場ごとに管理の難易度や必要な体制が異なるためです。
例えば、都市部と地方では駐車場代や運搬費に大きな差が生じますし、工期の長さによって人件費関連の比重も変化します。
具体的には、以下のような要素を事前に確認しておきましょう。
- 工事場所の立地条件(都市部か地方か)
- 工期の長さと管理体制の規模
- 現場へのアクセス状況
- 安全管理の必要度
- 品質管理の要求水準
上記の要素を適切に評価し、現場の実情に合った現場管理費率の設定が、工事の収益性確保には不可欠です。
過去の実績を参考にしながらも、各現場の特性に応じた柔軟な判断が求められます。
過去のデータや見積もり事例を活用する方法
過去のデータや見積もり事例は、適切な現場管理費を算出するための参考資料となります。
工事の規模や内容が似ている案件では、必要となる現場管理費の項目や金額にも共通点が多いからです。
過去の実績データを分析すれば、より現実的な見積もりが可能になるでしょう。
過去の事例を活用するには、以下のような項目を参照しましょう。
- 類似案件を選定(規模、工期、立地条件の近いもの)
- 見積額と実績額を比較分析
- 想定外の費用有無を確認
- 現在の物価水準を反映
- 新規案件特有の条件を加味
ただし、過去の事例はあくまでも参考資料です。
現在の物価水準や、新しい工事現場特有の条件なども加味しながら、総合的に判断する必要があります。
過去の実績を生かしつつ、現場ごとの特性に応じた適切な見積もりを心がけましょう。
まとめ
現場管理費は、工事を円滑に進めるために欠かせない経費です。
工事原価を構成する要素は、全部で17項目です。
これらをしっかりと把握し、適切に管理するかどうかで、工事全体のコストや最終的な利益が変わります。
相場は工事の規模によって5%から15%程度と幅があり、現場の立地や工期によっても変動する要素です。
特に都市部での工事は駐車場代や運搬費などが高額になるため、地方と比べて管理費が上がる傾向にあります。
現場管理費を算出する際は、工事の特性や条件を総合的に判断し、過去の実績データも参考にしながら適切な金額を設定する必要があります。
特に人件費関連項目は全体の大きな割合を占めるため、慎重に検討しましょう。
工事の成功は、これら現場管理費の適切な見積もりと管理にかかっています。
システムを活用することで、より正確な管理と分析が可能になるでしょう。
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