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2025年の建設業法改定ポイントを徹底解説!労働環境・コスト対策・効率化の3つを詳しく解説

2025年の建設業法改定ポイントを徹底解説!労働環境・コスト対策・効率化の3つを詳しく解説

2025/04/08

建築

2024年6月7日「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」が国会で可決・成立しました。

この改正は、建設業の担い手確保を目的として、労働者の処遇改善や働き方改革を促進する内容を含んでいます。

しかし「具体的に何を準備すべきか分からない」「自社への影響がどの程度あるのか不安」という声も多く聞かれます。

本記事では、2025年施行予定の建設業法改正について、改正の背景から具体的な対応策まで、実務担当者の視点で分かりやすく解説します。

建設業法改正への対応を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

2025年建設業法改正の概要

2024年6月に可決された建設業法改正は、建設業の担い手確保を目指した大規模な法改正です。

建設業界では、人材不足や長時間労働、賃金水準の低さなどが深刻な課題となっています。これらの課題に対応するため、労働者の処遇改善、資材高騰対策、働き方改革の3つを柱とする改正が行われることになりました。

改正法は正式には「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」と呼ばれ、2024年6月7日に国会で可決・成立しました。
施行は公布日から1年6ヶ月以内、つまり2025年中に予定されています。

参照:国土交通省「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案

この改正により、建設業者には新たな義務や規制が課される一方で、現場管理の効率化に向けた規制緩和も実施されます。

建設業に関わる全ての事業者は、改正内容を正しく理解し、必要な準備を進めていかなければなりません。

改正法の施行時期と目的

建設業者は、地域のインフラ整備や住居・オフィス・商業施設の建設を担う存在です。

しかし現在、建設業界では他産業と比べて賃金水準が低く、就労時間が長いなどの課題を抱えています。
この状況が続けば、将来にわたって建設業の担い手の確保が困難になると懸念されているのが現状です。

この改正法は2024年6月14日に公布され、段階的な施行が予定されています。

2024年9月1日 「労務費の基準」の作成に関する規定など、一部が先行して施行
2025年以降 残りの規定が順次施行(具体的な時期は今後、政令で定められる予定)

この法改正により、労働者の処遇改善や働き方改革、生産性向上の3つの観点から、建設業界の構造的な課題の解決を目指します。

建設業界が抱える3つの課題

建設業界は現在、さまざまな課題に直面しています。

建設業界は、国の基幹産業としてインフラの整備や維持管理など、社会的責任を担う存在です。
しかし、こうした役割を果たす上で、深刻な問題が解決されないまま放置されている現状もあります。

その結果、建設業の持続可能性が危機にさらされる場面も増えています。
特に注目すべき課題として、以下の3つが挙げられるでしょう。

労働環境の課題
  • 全産業平均と比べて長時間労働
  • 賃金水準は平均を下回る状況
  • 人手不足が深刻化
資材高騰の問題
  • 2021年後半以降、建設資材価格が高騰
  • 資材費上昇を労務費削減で補う事業所が多数
2024年問題への対応
  • 2024年4月から時間外労働の上限規制が建設業にも適用
  • 業務改善やDX化による生産性向上が急務

これらの課題解決を目指し、今回の法改正では労働者の処遇改善や適正な労務費の確保、生産性向上のための対策が必要とされているのが現状です。

改正による期待される効果

今回の建設業法改正により、労働環境の改善や生産性向上が、建設業界全体で期待されています。

これまでの建設業界では、労務費の確保や資材高騰への対応が個々の事業者に委ねられていました。
法改正によって業界全体での取り組みがより一層強化されるでしょう。

改正による主な効果として、以下のようなものが期待されています。

  • 労務費基準の設定による賃金水準の適正化
  • 資材高騰時の適切な価格転嫁の実現
  • ICT活用による現場管理の効率化
  • 工期の適正化による長時間労働の是正

これらの効果により、建設業の担い手確保と持続可能な産業としての発展が見込まれます。

建設業法改定のポイント①
労働者の処遇改善に関する改正内容

建設業法改定のポイントの一つ目が、労働者の処遇改善に関する改正内容です。

建設業の担い手確保のためには、労働者の適切な処遇確保が不可欠です。
そのため、今回の改正では労働者の処遇改善に向けた規制が導入されました。

具体的には、以下のような内容です。

参照:国土交通省「「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定

それぞれ詳しく説明します。

労働者の処遇確保

建設業法改正では、労働者の処遇確保を建設業者の努力義務として新たに規定しました。

建設業での労働者の適切な処遇確保のため、建設業者に対して具体的な責務が定められることになりました。

建設業者に求められる主な取り組みには、以下のようなものが挙げられます。

  • 労働者の知識・技能の公正な評価
  • 適正な賃金の支払い
  • 適切な処遇を確保するための措置の実施

処遇確保措置は努力義務として定められており、建設業者には改正の趣旨を尊重した積極的な取り組みが期待されています。

労務費基準の新設と不当な見積りの規制

建設業法改正では、適正な労務費確保のため「労務費の基準」の新設と不当な見積りの禁止が定められました。

労働者の適切な処遇を確保するためには、適正な労務費水準の設定と、不当に低い見積りの防止が必要です。

主な改正内容をまとめると、以下のとおりです。

労務費基準の新設
  • 中央建設業審議会が「労務費の基準」を作成・勧告
  • 建設工事の標準的かつ適正な労務費を設定
不当な見積りの禁止
  • 著しく低い材料費等の見積書作成を禁止
  • 発注者による不当な見積額の変更依頼も禁止
  • 違反する発注者には国土交通大臣等が勧告

これらの規制により、適正な労務費の確保と、資材費高騰の労務費への転嫁防止が図られます。

原価割れ契約の禁止による労働者保護

建設業法改正では、原価割れ契約の締結を禁止し、労働者保護をすると規定されています。

不当に低い請負代金での契約は労務費の圧迫につながるため、適正な契約金額の確保が必要とされています。

原価割れ契約の禁止についてまとめると、以下のとおりです。

  • 通常必要な原価を下回る金額での契約締結を禁止
  • 低廉な資材を保有するなどの正当な理由がある場合は除外
  • 労務費圧迫の防止が主な目的

この規制により、適正な請負代金の確保を通じた労働者の処遇改善が期待されます。

建設業法改定のポイント②
資材高騰への対応に関する改正内容

建設業法改定の2つ目のポイントが、資材高騰に対応するための新たな規制です。

2021年後半以降の建設資材価格の高騰により、多くの建設業者が労務費を削減して対応せざるを得ない状況が続いています。
この問題に対処するため、以下のような規制が導入されました。

それぞれ詳しく説明します。

リスク情報の通知義務化

資材高騰への対応として、リスク情報の通知義務化と請負代金の変更方法の明確化が定められました。

資材価格の高騰や供給不足による影響に適切に対処するため、契約段階での情報共有と変更手続きの明確化がされました。

改正による主な変更点には、以下のようなものが挙げられます。

リスク情報の通知義務化
  • 資材の供給減少や価格高騰の可能性を事前通知
  • 工期や請負代金に影響を及ぼす事象を報告
  • 契約締結前の段階での情報提供を義務付け
請負代金の変更方法の明確化
  • 請負代金の変更における算定方法を契約書に明記
  • 資材価格変動時の契約金額への反映をスムーズ化

これらの規定により、資材高騰時の適切な対応と円滑な契約変更が可能となります。

発注者の誠実な協議の努力義務化

資材高騰の対応として、発注者側に誠実な協議への対応を求める規定が設けられました。

リスク情報を通知した後、実際に資材高騰などが発生した場合の円滑な協議体制を確保するため、発注者側の対応義務が定められています。

主な改正内容をまとめると、以下のとおりです。

民間工事の場合
  • 受注者からの変更協議の申出が可能
  • 発注者は誠実な協議への対応を努力義務として規定
  • 根拠を欠く場合などは例外として認定
公共工事の場合
  • 受注者からの協議申出に対する対応を義務化
  • 工期や請負代金の変更に関する協議が対象

これらの規定により、資材高騰時の適切な契約変更と、受発注者間の円滑な協議が促進されます。

建設業法改定のポイント③
働き方改革と生産性向上

建設業法改定の3つ目のポイントは、働き方改革の推進と生産性向上に向けた取り組みです。

2024年4月からの時間外労働の上限規制適用を踏まえ、長時間労働の是正と効率的な現場管理の実現が求められています。

改正の主な内容は以下の3点です。

それぞれ詳しく説明します。

長時間労働抑制

長時間労働抑制のため、工期ダンピングの防止に向けた新たな規制が導入されました。

工期ダンピングとは、建設業者が受注を優先するために、実際に必要な工期よりも著しく短い工期で契約を締結する行為を指します。

従来は発注者側のみに課せられていた工期規制が、今回の改正で受注者側にも拡大されることになりました。

工期に関する新たな規制には、以下のようなものが挙げられます。

  • 受注者側での著しく短い工期による契約締結を禁止
  • 通常必要な施工期間を著しく下回る工期設定は不可
  • いわゆる工期ダンピングの防止が目的

この規制により、現場の労働者を適切な工期の中で働かせることが可能となり、長時間労働の抑制効果が期待されます。

ICTを活用した規制緩和の推進

ICTの活用を前提に、現場技術者の専任規制が緩和され、施工体制台帳の提出義務も合理化されました。

現場管理の効率化を促進するため、ICTの活用を条件として、これまでの規制が見直されることになりました。

主な規制緩和の内容には、以下のようなものが挙げられます。

現場技術者の専任規制の緩和
  • ICTの活用を要件に専任義務を緩和
  • 主任技術者・監理技術者の設置負担を軽減
施工体制台帳の提出義務の合理化
  • ICTによる現場確認が可能な場合は提出を免除
  • 公共工事における手続きの効率化を実現

これらの規制緩和により、ICTを活用した効率的な現場管理の促進が期待されます。

ICT活用の指針作成と努力義務化

建設現場のICT活用を促進するため、国による指針作成と建設業者への努力義務化が定められました。

建設工事の適正な施工を確保するためには、ICTの活用による効率化が不可欠です。
そのため、特定建設業者を中心とした取り組みの推進が求められています。

新たに定められた内容には、以下のようなものが挙げられます。

  • 国が現場管理のICT活用指針を作成
  • 特定建設業者に対するICT活用の努力義務化
  • 元請事業者による下請負人への支援・指導

これらの施策により、建設現場全体でのICT活用を通じた生産性向上が期待されます。

建設業法改正への対策

2025年の建設業法改正に向けて、建設業者は以下のような対策が必要となります。

それぞれ詳しく説明します。

社内規定の見直し

建設業法改正に対応するため、各社で社内規定の見直しと整備が必要となります。

労働者の処遇改善や資材高騰への対応など新たな規制への対応を社内ルールとして明確化しておくと良いでしょう。

主な見直し項目には、以下のような内容が含まれます。

  • 労務費や工期の算定基準
  • 見積書作成の社内ルール
  • 資材高騰時の対応フロー
  • 工期設定の判断基準

法改正の施行に先立ち、自社の規定を点検し、必要な改定を進めておくようにしましょう。

システム導入を検討する

建設業法改正では、ICT活用による現場管理の効率化が重要な要素となっています。

特定建設業者には、ICTを活用した現場管理が努力義務として課され、ICT活用を条件に、技術者の専任規制や書類提出義務の緩和も実施されます。

建設業法改定にあたり、以下のようなツールの導入を検討しましょう。

  • 工事現場の遠隔管理システム
  • 勤怠管理ツール
  • 施工体制台帳の電子化対応
  • 工程管理ソフトウェア

改正内容に対応したシステムを適切に選定・導入すれば、業務の効率化と法令順守の両立が可能となります。

まとめ

2025年の建設業法改正は、建設業界の働き方を変える改正です。

労働者の処遇改善、資材高騰への対応、働き方改革の3つの柱に基づく改正により、建設業界全体での取り組みが求められています。

今回の改正では、労務費基準の新設と不当な見積りの禁止が定められ、資材高騰時の適切な対応ルールが整備されます。
さらに、ICT活用による現場管理の効率化も推進されることになりました。

現場の効率化を進めるためにおすすめなのが、「PRODOUGU(プロドウグ)」です。

PRODOUGUは、図面管理から工事写真の撮影、アルバム出力まで行える総合型の建築業向け施工管理アプリです。

ICTを活用した現場管理の効率化にも対応しており、法改正への準備としても有効なツールとなるでしょう。

建設業法改正への対応を検討している方は、規定の整備やシステムの導入を計画的に進めるとともに、PRODOUGUなどの施工管理アプリの導入も視野に入れることをおすすめします。ぜひ導入をご検討ください。

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