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建設業界における設計DXのメリットとは?具体的な課題と解決法も解説

建設業の2024年問題の背景や影響を徹底解説|DXで残業時間を緩和できる?

2024/02/14

2024/11/06

建築

ニュース番組や新聞を見たり読んだりしていると「建設業の2024年問題」という言葉に触れることがあるでしょう。

建設業の2024年問題は、働き方改革の一環で、建設会社は必ず対応しなければいけません。

本記事では、建設業の2024年問題の概要や背景・影響、実現するための施策について解説します。

この記事を読むと、建設業の2024年問題とは何か、どういった対策をとる必要があるのか、などについて理解できるため、ぜひ参考にしてください。

建設業の2024年問題とは

建設業の2024年問題とは、2024年に施行される「働き方改革関連法」の影響を受けて、建設業界が対応しなければいけない問題のことです。

「働き方改革関連法」は、正式名称が「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」で、2019年4月1日に施行された法案です。

ただし、建設業では、一部の働き方改革関連法案の適用に5年間の猶予期間が設けられており、2024年4月から適用されることになります。

建設業の2024年問題のほかに、「物流業(運送・運輸)の2024年問題」や「医療業の2024年問題」というものもあります。

2024年4月から施行される
「働き方改革」

2024年4月から施行される「働き方改革」のポイントは、以下の2つです。

それぞれについて詳しく解説します。

時間外労働の規制

建設業では、2024年4月から時間外労働時間に罰則付きで規制がかけられます。

時間外労働時間の上限は、原則として月45時間以内、年360時間以内です。

他にも以下の条件が決められています。

  • 年間残業時間は720時間まで(休日労働は除く)
  • 2~6ヵ月いずれも平均80時間以内(休日労働を含む)
  • ひと月の残業の上限は100時間未満(休日労働を含む)
  • 月45時間超の残業は年6回まで(休日労働は除く)
引用:2024年適用の時間外労働の上限規制

建設業を営む会社は、指定された上限を超えないように、従業員を管理しなければいけません。

割増賃金の引き上げ

建設業では、中小企業における60時間を超える時間外労働の割増賃金率が25%から50%へと引き上げとなります。

つまり、2023年4月からは、企業の規模に関係なく月の時間外労働時間が60時間を超える場合は、50%の割増賃金を支払う必要があるということです。

適切に給与計算をおこなえるよう、新たに管理システムを導入する必要があるかもしれません。

建設業の2024年問題の
背景や影響

建設業2024年問題の背景や影響を考察するため、国土交通省が公開する「建設業を巡る現状と課題」のデータを参照します。

建設業が抱える課題として以下の2つが挙げられるでしょう。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

長時間残業の緩和

建設業では、慢性的な長時間残業が以前から問題視されています。

建設産業における働き方の現状
参照元:国土交通省「建設業を巡る現状と課題」27ページ

年間の総実労働時間は、全産業と比べて90時間も長くなっています。
また、20年ほど前と比べて、全産業では約90時間実労働時間が減少しているものの、建設業は約50時間と減少幅が小さくなっています。

さらに、他産業では当たり前となっている週休2日も完全には確保できていないところもあるのが実情です。

国土交通省は、中小企業や下請け企業などの受注業者が、発注企業からの短期間納期に応えるため、無理な計画を立てて、従業員に長時間残業を強いている現状があることを指摘しています。

人手不足の解消

人手不足および次世代への技術承継が困難な課題も抱えています。

建設産業における就労者数の推移
参照元:国土交通省「建設業を巡る現状と課題」3ページ

建設業では、技能者などの減少がみられ、高齢化が指摘されています。

建設業就業者は、55歳以上が35.9%、29歳以下が11.7%と高齢化が進行しており、次世代への技術承継が課題です。

60歳以上の技能者は全体の約4分の1(25.7%)を占めており、10年後にはその大半が引退すると予想されます。
さらに、これからの建設業を支える29歳以下の割合は全体の約12%程度で、不安要素となっています。若い技能者の確保や育成が課題です。

慢性的な長時間残業と人手不足には、深い関係性があるとされています。
労働環境が改善されないと、とりわけ若い人手の確保および定着が難しいでしょう。

主要資材の価格高騰

建設業では、人材不足や長時間労働だけでなく、建設業の事業を支える資材の価格高騰も深刻な課題になっています。

資材ごとの価格高騰の推移は、以下のグラフから見て取れるでしょう。

主要資材の価格推移(東京)

※市場の最新単価を把握するため、一般に公共工事の予定価格の積算で使用される「建設物価」と「積算資料」の平均価格を表示

引用:建設業を巡る現状と課題

資材ごとの2022年と2023年の資材価格と上昇率をまとめたデータはこちらです。

資材名 2022年価格 2023年価格 上昇率
生コンクリート(円/10㎥) 147,500円 178,000円 21.0%
厚板(円/t) 132,000円 144,000円 8.7%
セメント(円/10t) 109,000円 129,000円 18.3%
H型鋼(円/t) 114,500円 123,000円 7.4%
軽油(円/kl) 119,000円 117,500円 ▲1.3%
異形棒鋼(円/t) 111,000円 117,500円 5.9%
型枠用合板(円/50枚) 92,250円 100,000円 8.4%
ストレートアスファルト(円/t) 97,000円 98,500円 1.5%
再生アスファルト合材(円/10t) 85,500円 98,500円 15.2%
引用:建設業を巡る現状と課題

データを見ると2022年から2023年にかけて安くなった資材は軽油しかありません。

特に全国的にセメントや生コンクリートの騰勢が続いており、資材の仕入れ先などの再検討が求められています。

資材高騰の背景は、2021年(令和3年)後半から起こった原材料費の高騰やエネルギーコストの上昇といわれています。
今後も資材の高騰が続くようであれば、建設工事の費用自体も高騰する可能性があるでしょう。

建設業で働き方改革が遅れている理由

建設業では働き方改革の実施が他の業界に比べて遅れています。
その理由には、業界特有の課題が複数存在します。一つは、長時間労働の常態化です。

国土交通省の「建設産業における働き方の現状」によると、年間の総実労働時間は、全産業と比べて90時間長いのが現状です。同資料によれば週休2日制の導入も進んでおらず「4週6休程度」が最多とされています。

長時間労働の常態化の要因は一つではありませんが、以下の2つの問題が大きな要因となっています。

深刻な人材不足
  • 就労者数の減少
  • 就労者の高齢化
  • 若手の後継者不足
建設プロジェクトの特性
  • 天候に左右される屋外作業
  • 工期の厳守要求
  • 突発的な作業の発生

これらの要因により、労働時間の管理が困難となっているのが現状です。こうした状況を踏まえ、働き方改革関連法は2019年4月から順次施行されましたが、建設業への全面適用は2024年4月からとなりました。

建設業が抱える労働時間管理の課題

建設業が抱える労働管理の課題には、以下のようなものが挙げられます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

正確な労働時間の把握が困難

建設業界では、正確な労働時間の把握が大きな課題となっています。

厚生労働省は、労働時間の適正な記録を求めていますが、建設業の特性上、実現は簡単ではありません。現場仕事が中心で勤務場所が分散しやすい建設業では、多くの企業が日報やタイムカードによる勤怠管理を行っています。
しかし、この方法には以下のような問題があります。

  • 日報の報告忘れやタイムカードの打ち忘れが発生しやすい
  • 事務員による代理打刻などの不正が起きやすい
  • 実際の労働時間と記録との乖離が生じやすい

上記のような要因により、労働時間の正確な把握が困難になっています。
2024年以降、建設業界でも働き方改革関連法が全面適用されています。そのため、企業は労働時間を適正に把握していることを証明する措置を講じなければいけません。
具体的には、自己申告制を採用する場合、実態調査の実施や必要に応じた労働時間の補正が求められます。

正確な労働時間管理は、従業員の健康維持やワークライフバランスの向上、さらには企業のコンプライアンス遵守にとって不可欠です。
参照:厚生労働省「労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

労働時間の確認・集計が手間

建設業界では、労働時間の確認と集計も課題の一つです。
多くの企業が日報やタイムカードによる勤怠管理を行っているのが現状です。ただし、この作業は手作業による確認と集計に多くの時間を要します。
他にも、以下のような問題も発生しやすくなっています。

  • Excelへの転記時のミス
  • 集計ミスによるチェック時間の増加
  • 複数現場を移動する従業員の勤務記録の不完全さ

特に、1日のうちに複数の現場を移動する従業員の場合、各現場での正確な労働時間を記録するのは、簡単ではありません。そのため、勤務記録に空白の時間帯が生じ、正確な労働時間の把握ができていない企業も多いのが現状です。

2024年以降、建設業界でも働き方改革関連法が全面適用されています。
時間外労働の上限規制に対応するためには、累積労働時間を常に把握する必要があります。しかし、手作業での集計では、タイムリーな現状把握が極めて困難です。

労働時間の上限規制に対応するためには、これまでの作業を大きく見直す必要があるでしょう。

残業管理の適切な仕組みの欠如

建設業界での残業管理の適切な仕組みの欠如は、深刻な課題です。
2024年から全面適用されている働き方改革関連法に対応するためには、効果的な残業管理システムの構築が不可欠です。

現状の課題として、以下のような点が挙げられます。

  • 36協定で定めた時間外労働時間と実際の労働時間の確認の必要性
  • 月単位や年間累計、複数月平均など、多角的な残業時間の把握
  • アナログな勤怠管理によるリアルタイムでの状況把握の困難さ

残業管理に精通した人材の不足も大きな問題です。
適切な労務管理のスキルを持つ管理者が少ないため、上限を超えそうな従業員に対する適切なマネジメントができていない場合があります。業務指導や業務の分散といった対策を講じることができず、結果として残業時間の削減が進まない状況が続いています。

問題解決のためには、従業員へのマネジメント教育も大切ですが、効果的な残業管理システムの導入なども検討する必要があるでしょう。

有給・休日の管理が不十分

建設業界では、有給休暇と休日の管理が不十分な状況が続いています。
多くの建設会社で見られる休日設定には以下が含まれます。

  • 日曜日
  • 年末年始
  • お盆休み
  • 事業主が指定する日

しかし、実際には休日を取得できない従業員が多いのが現状です。
休日の取得が困難となっている理由には、以下のようなものが挙げられます。

  • 長期にわたる工期設定
  • 天候に左右される屋外作業
  • 厳しい施工期限

働き方改革関連法では、有給休暇の年5日取得が義務化されました。企業は、従業員の有給休暇取得状況を適切に管理する必要がより求められるでしょう。
休日労働を行う場合は、時間外労働として計算し、割増賃金を支払う必要があります。管理者には、労働時間の適正な把握と管理、休日の確保、給与待遇の改善を一体的に進める仕組みの構築が求められています。

建設業の働き方改革加速化プログラム
国土交通省によるガイドライン

建設業の働き方改革を進めるために、国土交通省は5つの具体的な指針を提供しています。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

労働時間の適切な管理

建設業の働き方改革では、労働時間の適切な管理が必要です。
国土交通省のガイドラインでは、具体的な労働時間管理方法が示されています。

具体的な内容は、以下のとおりです。

管理方法 具体例
客観的記録(原則) タイムカード
ICカード
パソコン使用時間記録
自己申告(例外的) 現場直行直帰の場合など

労働時間記録の保存義務は3年間と定められています。
この期間中、記録を適切に保管する必要があります。万が一の労働基準監督署の調査や労働紛争の際に備え、確実に記録を残しておきましょう。

適切な労働時間管理は、長時間労働の抑制や過重労働の防止にも効果があり、従業員の満足度向上や離職率の低下にもつながります。詳しくは国交省のガイドラインを確認してください。

持続可能な労働環境の構築

建設業界が直面する課題の一つが、週休二日制の導入です。
現状の建設業界では、多くの現場で週休二日制が実現できていません。国土交通省の調査によれば、建設業の週休二日実施率は他産業に比べて低く、この状況が若手人材の確保を困難にしています。

週休二日制を導入するためには、以下のような取り組みが必要でしょう。

適切な工期設定 発注者と受注者の協力による現実的な工期設定
柔軟な工期調整 進捗に応じた工期の再設定と協議
施工時期の最適化 季節や天候を考慮した施工計画

導入は、一朝一夕には進まないかもしれません。
現状は、週休二日制は推奨されているだけで、義務化や罰則対象ではありません。しかし、国土交通省のガイドラインにも記載されているため、早急に対処する必要があるでしょう。

給与や社会保険制度の見直し

建設業の働き方改革では、給与や社会保険制度の見直しも進める必要があります。
社会保険については、2020年から加入が実質的に義務化されました。建設業の新規許可や更新時には、社会保険への加入が必須条件となりました。未加入の事業者は、許可の更新ができなくなるリスクがあるため、早めの対応が求められるでしょう。給与面では、適切な賃金水準の確保が必要です。

具体的な取り組みには以下のようなものが、挙げられます。

発注者への要請 適切な賃金水準の確保
賃金テーブルの見直し 経験や資格に応じた給与設定

各取り組みは、建設業界全体の労働環境改善にもつながります。また、人材確保にもプラスの効果が期待できるでしょう。

現場労働者の評価を向上

現場労働者の評価向上も、建設業が抱える課題の一つです。
国土交通省は、解決策として「建設キャリアアップシステム」を推進しています。
建設キャリアアップシステムの主な特徴は、以下のとおりです。

経験の可視化 キャリア形成支援
責任範囲の明確化 適切な評価と処遇
スキルの証明 技能向上の動機付け

建設キャリアアップシステムは、現場労働者一人ひとりの経験やスキルが明確になり、適切な評価や処遇改善につながることが期待されています。

建設業の2024年問題の解決は無理?
実際の現場の状況を解説

建設業の2024年問題は、2024年4月の働き方改革関連法の施行までに対処しなければいけない内容でした。
しかし、実際の建設現場では建設業の2024年問題の解消は無理だという声も聞こえてきます。
ここでは以下の3つのポイントから、建設業の2024年問題の解決が難しい理由を解説します。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

休日取得が増えても所定外労働時間が減らない

建設業の働き方改革の手段の一つとして、週休2日制の導入があります。
働き方改革によって週休を2日取得するために、2回現場閉所する取り組みも勧められました。

実際に現場閉所する活動は進んでいますが、閉所にしたからといって所定外労働時間が減少しているとは限りません。

具体的な工事現場の閉所率と所定外労働時間の平均をまとめたグラフは以下のとおりです。

工程表上の閉所設定と4週8閉所作業所の所定外労働時間平均
引用:休日・休暇の現状

データを見てわかるように、閉所の割合という点では、国土交通省や農林水産省などの公共工事で4週8閉所が50%以上実現できています。
一方で、民間工事を請け負うことがほとんどの民間デベロッパーの閉所達成の割合は、4週4閉所が49.6%です。

両者を閉所の割合で比較すると公共工事の休日取得率の方が高く、条件が良いように見えることがほとんどです。

ただ、所定外労働時間を見ると民間デベロッパーが48.2時間なのに対して、農林水産省では59.9時間という結果になりました。
閉所割合の達成を進めるだけでは、建設業の労働環境が改善するわけではないということが分かります。

閉所設定により生活が成り立たなくなる人が出てくる

現場閉所数が増えることで、生活が成り立たなくなる人材も発生するでしょう。
なぜなら、工事現場で作業する人材の中には、建設会社の正社員ではなく一人親方や外部の作業員が雇われていることもあるからです。

月給での契約を結んでいない人材の場合、工事現場が稼働している期間しか働くことができません。

閉所設定により働ける日数が減ってしまうことで、生活費を確保できなくなる人が現れることが懸念されています。

建設会社は、従業員や委託先の作業員を守るためにも月給の導入や基本賃金の増加を検討する必要があるでしょう。

実際の残業時間と報告する残業時間との乖離が発生する

働き方改革関連法の施行により、会社全体で残業時間を減らす取り組みを進めてきました。
会社によっては、残業時間を減らさなければという意識が理由で、実際に対応した残業時間よりも少ない時間を報告する事態も発生しています。
実際の残業時間と、会社に報告した残業時間の乖離時間をまとめたデータは以下のとおりです。

実際の残業時間と会社へ報告した残業時間との乖離時間の分布
引用:労働時間の現状_乖離理由

特に100時間以上残業している人は、会社に報告した残業時間よりも40時間以上の乖離があることが分かります。
実際の残業時間が減っていないのであれば、働き方改革の意味がありません。
ロボットやシステムを活用しながら、残業時間を報告した数値と同じになるように調整していくことが大切です。

2024年3月には政府が建設業の
契約取引に係るルールを整備

建設業の2024年問題の解決に向けて、2024年3月8日に国土交通省が「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定しました。

ここでは改正された法律案の内容を詳しく解説します。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

労働者の処遇改善

法律の一部改正に伴って労働者の処遇改善のルールがより明確になりました。

中央建設業審議会が「労務費の基準」を作成や勧告を行うことで、元請けから一次下請け、二次下請けへと業務が分担されても、標準労務費を一定に確保できる仕組みを策定しています。

標準労務費を一定に確保する方法としては、著しく低い労務費等による見積り・見積り依頼の禁止が挙げられます。
違反建設業者には、現行規定により指導監督が入ることもあり、国をあげて労働者の労働環境を守っていくことが期待されています。

資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止

労務費とは、工事に携わる人に対して支払うお金全般を指します。
具体的に挙げると、以下のとおりです。

  • 賃金・給料
  • 福利厚生費
  • 手当
  • 賞与
  • 社会保険料

契約時点で決めていた契約金額が、資材の高騰などが原因で超過した場合、削減される可能性が高い費用が労務費です。
今回の法律案では、工事にあたる作業員や従業員を守るために、契約前・契約後の2つに分けて以下のルールが設定されています。

契約前 資材高騰など請負額に影響を及ぼす事象(リスク)の情報は、受注者から注文者に提供することを義務化
資材が高騰した際の請負代金等の「変更方法」を契約書記載事項として明確化
契約後 資材高騰が顕在化した場合、受注者が「変更方法」に従って契約変更協議を申し出たときは、注文者が誠実に協議に応じる努力義務
引用:建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案

特に事前の情報共有が義務化されることで、知らないうちに労務費が減らされていた、という事態は避けられるでしょう。

働き方改革と生産性向上

働き方改革や業務の生産性向上を目指して、以下の2点の内容が改善されています。

  • 長時間労働の抑制
  • ICTを活用した生産性の向上

長時間労働の対策としては、工期ダンピング対策を強化しました。
従来までは、発注者に対して著しく短い工期による契約締結を禁止していましたが、今回の改訂で受注者にも禁止されます。

ICTを活用した生産性の向上については、発注者と元請業者、下請業者がタブレット等を使用して情報共有を円滑に行う仕組みづくりを目指しています。
発注者への施工体制台帳の提出義務や、現場技術者の遠隔通信技術を使った業務の専任化なども提示されており、ICTを積極的に利用する環境が整うことが期待できるでしょう。

建設業の働き方改革を
実現するための施策

建設業の働き方改革を実現するための施策について解説します。
主に対策できることは、以下の5つです。

それぞれ詳しく解説します。

適切な工期設定

建設業の労働環境を改善するためには、前提として週休2日を確保できる適切な工期設定をおこなう必要があります。

一般的に、発注者は受注者よりも強い立場にあるため、施工条件などを明確にしたうえで適正な工期を算出して請負契約を設定することが求められています。

もちろん、受注者も不当な短い工期での依頼は断る必要があるでしょう。
建設業の労働環境の是正のためには、発注者・受注者の意識改革が必須です。

適切な労働時間の管理

2019年4月から労働安全衛生法が改定され、労働時間の客観的な把握が義務化されました。

建設業でも、タイムカードやパソコンなどの使用による労働時間の記録が義務付けられています。

また、労働時間の客観的な把握に関する書類(従業員名簿や出勤簿、タイムカードなど)は、3年間の保存義務があります。

適切に管理がされていない場合は、30万円以下の罰則が設けられます。
そのため、管理およびデータ保存するためのシステムを導入する必要があると言えるでしょう。

生産性の向上

時間外労働を規制するにあたって、生産性の向上が必要不可欠だとされています。
たとえば、以下のような取り組みが期待されています。

  • ドローンによる3次元測量
  • ICT建機の活用やICT活用工事の推進
  • 図面管理・閲覧から工事写真の撮影、アルバム出力までおこなえる総合型の建築業向け施工管理アプリの導入
  • 工期設定の平準化
  • 公共工事における新技術活用システムの導入
  • 業務の効率化に向けた工事関係書類の削減・簡素化、情報共有システムを活用したコミュニケーションの最適化

発注者と受注者の連絡、または、建築現場の管理において、ツールを活用して無駄を省く取り組みが必要です。

たとえば、パソコンとiPad/iPhoneをクラウドで繋げ、図面管理・閲覧や工事写真の撮影などができる総合型の施工管理アプリ「PRODOUGU(プロドウグ)」というツールもあります。

企業規模や業務内容などに合わせたツールを導入して活用し、生産性を向上させましょう。

建設DXへの取り組み

建設業の働き方改革を実現するためには、建設DXへの取り組みも必要です。

建設DXとは、建設業界にAIなどのデジタル技術を導入して、生産性向上や建設業界が抱える長時間労働の慢性化や人手不足などの問題解消を図る取り組みのことです。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術の発達によって人々の生活をより良くしていこうとする取り組みのことで、建設業にも適用する必要が迫られています。

社会保険への加入の推進

建設業においては、社会保険加入率が低い点も問題視されています。
そのため、建設業でも社会保険への加入を基本的な水準にすることが目標です。

国土交通省や中央建設業審議会は、社会保険に未加入の企業に建設業の許可・更新を認めないという姿勢を見せています。

また、発注者には、工事施工依頼をする場合、下請建設企業も含めた人すべてが社会保険に加入している状態にすることを求めています。

建設業が取り入れていくべき建設ツール

建設業の2024年問題の解決には、建設ツールの導入やDX化が必須です。
ここでは、建設業の業務効率化に効果的な建設ツールを5つ紹介します。

  • BIM・CIM
  • 経理ツール・システム
  • AIロボット
  • ドローン
  • 施工管理アプリ

たとえばBIMやCIMを活用すれば設計業務での修正や追記作業を効率化できます。
経理ツールを活用すれば、従来までは紙で作成していたあらゆる書類をデータで管理できるようになり、データの保管や送付などのやり取りをスムーズに進められるでしょう。

建設現場での作業効率化を検討している人は、施工管理アプリがおすすめです。

PRODOUGU(プロドウグ)はクラウドと連携したオールインワンシステムとして、施工管理が通常の業務で使うことの多い設計図や施工図、施工計画表などをタブレット一つで管理できる機能を備えています。

PRODOUGU(プロドウグ)はアプリをダウンロードすることで、他の端末でも書類の読み込みや閲覧ができるようになるため、複数の作業員と情報共有しながら作業を進めたい場合にも効果的です。

建設業のICT化をスムーズに進めるためにも、まずはスマートフォンやタブレットを使って従業員全体にPRODOUGU(プロドウグ)の使い方に慣れてもらうと良いでしょう。

PRODOUGU(プロドウグ)について詳しく知りたい人はこちらから

建設業の2024年問題への
取り組み事例

最後に、建設業の2024年問題への取り組み事例を3つ紹介します。

具体例①:名工建設株式会社

名工建設株式会社は、残業や休日の作業ができない環境をつくることで働き方改革に成功した事例です。

具体的には、所定休日の土曜のうち月1回は作業所を閉所したり、週1回ノー残業デーを実施したりして、強制的に長時間労働の是正を図りました。

従業員の意識改革をおこない、いかに規定労働時間内の生産性を上げるかに注力した結果、長時間労働を軽減できたと言えます。

具体例②:矢作建設工業株式会社

矢作建設工業株式会社は、子育てと両立しやすい勤務体制を整えることに成功した事例です。

具体的には、育児休業を子どもが3歳になるまで取得できるようにしました。
また、9歳未満の子どもを育てる従業員は短時間勤務が利用可能で、6時間・6.5時間・7時間の中から自由に選択できるようにしました。

こういった取り組みは、人手不足の解消につながるとされています。
従業員の入れ替わりが激しいと、経験やノウハウが蓄積されにくいため、安定した雇用につながる良い取り組みだと評価できます。

具体例③:株式会社第一ヒューテック

株式会社第一ヒューテックは、適切なITの活用による効率化や、ワークライフバランスを意識したシフト勤務の導入に成功した事例です。

具体的には、以前まで手渡しだった資料をあらかじめメールで送付したり、業務の効率化を図るためにスマホから情報を共有したり、ペーパーレス化とネットワーク強化を進めました。

また、リアルタイムでパソコンやスマホから現場状況を確認できるようにし、建設DXを推進しています。

そのほかにも、今まではなかったシフト勤務を導入して、時間差通勤も実現できるようになりました。

生産性を上げつつ、一人ひとりの従業員の働きやすさを重視した取り組みは、従業員の満足度向上にもつながるでしょう。

働き方改革が建設業に与える影響

2024年4月から建設業界にも全面適用される働き方改革関連法は、建設業界に変化をもたらすでしょう。
特に、労働環境は以下のような点で改善されることが期待されています。

現状 改革後
労働時間 年間3000時間超も 年間最大960時間まで
休日 4週4休が一般的 4週8休の実現を目指す
残業代 固定残業代が主流 実労働時間に基づく支払い

労働環境が改善されれば、若手の入職増加が見込まれます。
週休2日制の導入など、労働条件を改善すれば、建設業が抱える長時間労働の常態化や深刻な人材不足も、解決に向かっていくでしょう。

まとめ

今回は、建設業の2024年問題とは何か、どういった対策をとる必要があるのか、などについて解説しました。

本記事を読んでみると分かるように、管理ITツールの活用は必須と言えるでしょう。 クラウドと連携したオールインワンシステム「PRODOUGU(プロドウグ)」の導入をぜひ積極的に考えてください。

  • iPadは、米国および他の国々で登録された Apple Inc. の商標です。
  • iPhone の商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。
  • その他の社名、および製品名は、それぞれの会社の商標または登録商標です。

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